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今さらホテルハワイの謎

2018-11-07 00:21:33 | 秋田のいろいろ
秋田市に「ホテルハワイ」という地元ホテルがあった。
中心部で3店舗のビジネスホテルを運営していたが、2009年正月に突然営業停止。以降建物は放置状態であった。
今年3月、うち2店舗を大阪の不動産開発会社が買い取り、分譲マンションとホテルができることになり、工事が始まっている。ホテルにする建物は、旧ホテルハワイの一部を活用するらしい。

秋田なのに「ハワイ」とはおかしな名前だけど、元は常磐ハワイ(1966年)的な施設を目指していたため。1967年に通町橋たもとにオープン。
1972年に千秋久保田町の広小路沿いに「駅前店」、1979年に中通五丁目に「新本店」、1983年に中通三丁目に「ラグーン」を開店。中通の2店は、川反近くの池永小路をはさんで向かい合っていた。今年買い手がついたのは中通の2店舗で、新本店跡は駐車場に、ラグーンの一部を解体してマンション、残りがホテルになる。
【2019年10月18日追記】2019年10月17日の報道で、中通の計画が遅れていることが明らかになった。2019年度完成としていたホテルは、2019年8月に2020年度以降に延期され、未着工。ホテル運営会社選定に難航しており、ホテル計画をやめて売却も視野に入れて検討する。分譲マンションは、2018年11月着工予定だったが、施工業者が資材確保できておらず未着工で、業者変更を検討。マンションは遅れてでも建てたいとのこと。
【2019年12月4日追記】その後、2019年12月4日の報道によれば、ホテル計画は中止となった。ラグーン北側建物の老朽化が進んでおり改修が難しいためとしており、12月中にも解体に入り、2020年6月中旬までに終えるが、跡地活用は検討中。ラグーン南側のマンションは引き続き、未着工・業者選定中ながら建設する意向。
【2020年2月11日追記】さらにその後、2020年2月11日の報道で、スケジュールと費用に折り合う施工業者が見つけられないことを理由に、マンション建設を取りやめる方針であることが分かった。これで、中通の計画は全面白紙となった。すでにマンションの契約をしている客もいるという。
現状は、新本店とラグーンの一部は解体済み、ホテルになる予定だったラグーンの一部が解体途中。


通町橋の店は、1979年に地元スーパー「協働社」に売却して「ホテルはくと」に。
さらに協働社が経営破綻して、1999年にフナコシヤへ売却(クルーザーバレー・ホテルはくと)、2007年に建物が建て替えられ、2013年にアパホテルへ売却されて「アパホテル秋田千秋公園」。

経緯からして、ホテルハワイは1970年代のうちにビジネスホテルへシフトしたようだが、秋田としては初めてかつ最大規模のビジネスホテルであっただろう。
不況と県外資本のホテルチェーンの相次ぐ進出の中で、設備が陳腐化してしまい、競争力がなくなったのだろう。

とりあえず、市街地の空きビルの2つがなんとかなりそうなのは良かった。結局マンションとホテルが増えてしまうけれど。あとは旧駅前店がどうなるか。
【2020年1月29日追記】上記追記の通り、2019年になると中通2店舗の計画が停滞していることが分かった。【その後、中止・白紙となった】
一方、駅前店は仙台のマンション開発会社が買い取り、解体・新たにマンションを建てることになった。2021年初め頃までには解体されそう。


さて、旭川沿い土手長町通りの北都銀行本店の並び。ここにホテルハワイの駐車場の1つがあった。場所的にラグーンが近いが、一般向けの時間貸し・月ぎめも兼ねていたようだ。
10月下旬撮影
↑右奥の白い建物がラグーン。正面奥の黒いのは別の新しいマンション。左のイチョウも塩害でチリチリ。

この駐車場の歩道との境には、膝丈ほどのコンクリートの塀というか仕切りがあった。以前から存在は頭にあり、そんなに古そうなものには感じなかった。

改めて見れば、その壁面に「HOTEL HAWAII」とか文字が彫りこまれている。これもなんか頭にあった。

今回の解体工事のため、塀の一部(と右のイチョウ1本)が撤去されてしまったので、本来の表記をGoogleストリートビューで確認。
2012年10月撮影
土手長町通りの向かって左側には「HOTEL HAWAII LAGOON SE」、出入口を挟んで右側は「HOTEL HAWAII 1050」。また左の一方通行路側にも「1050 HOTEL HAWAII」。
右側は今は「HOTEL HA」がなくなって「WAII 1050」
気になるのは「1050」と「SE」。
1050は、おそらく3店舗の客室数の合計。駅前店360+新本店240+ラグーン450。
こんなにしてまで総客室数にこだわるのかという気もするけど。

SEはまったく分からない。Second Edition?


あと昔から謎だったのが、第3店の名前「ラグーン」の由来。
塀の表記によりつづりが「LAGOON」であることが判明した。予想はしていたけれど、高校の地理で習った、八郎潟のような「潟湖」を意味するラグーンのことか。
アメリカ英語では、単に池や沼の意味合いでも用いるらしい。
でも、この辺にそんなものない。なぜ?


もう1つ不思議だったのが、テレビCMのBGM。
廃業直前頃はどうだったか忘れたけれど、少なくとも1980~2000年代初め頃までは、定番ローカルCMの1つであった。宿泊特化ホテルの宣伝をその地元でやっても、効果は低そうだけど。ただ、秋田県内限定でなく、少なくとも宮城県内でも流れていたらしい。(さらに駅などにも積極的に広告を展開していたようだ。)
そのCMでは、「♪ぽぽぽぽぽぽ」というホルンの音楽がいつもかかっていた。
僕はアルプホルン→スイス辺りのアルプスの光景を連想し、「秋田」の「ハワイ」で「アルプス」と、ちぐはぐさを禁じ得なかった。

今回調べていたら、その曲名が判明!
ドイツのリヒャルト・シュトラウス作曲「ホルンと管弦楽のための第2協奏曲変ホ長調」だそう。流れていたのは第3楽章冒頭かな。
だとしても、やっぱり秋田のホテルハワイとの関連はなさそう。【19日追記】いただいたコメントによれば、オーナーはホルンを吹いていたそうで、自身の好みだったのではとの説。
※時期やバージョンによっては、違うメロディーのホルンの曲がかかっていたこともあった。同じ曲の別の部分なのか、違う曲なのかは不明。

結局謎だらけのホテルハワイ。今となってはその答えを知るのは難しい。


確証のない余談。鉄道旅行作家の故・宮脇俊三氏が1978年10月28日に「最長片道切符の旅(新潮社1979年)」で秋田を訪れた際、秋田駅前の大きなビジネスホテルに宿泊している。
ホテル名の記載はないし、「ビジネスホテルは土曜日だから空いている」程度しか書かれていないけれど、当時、秋田駅前の大きなホテルといえば、ホテルハワイ駅前店しかなかったと思われるので、おそらく投宿したのかも。今さらですが。【8日補足・ビジネスホテルではないがビューもメトロポリタンもまだなかったし、秋田第一ホテル(現・キャッスル)は駅前とは言い難い。宮脇先生は駅へのアクセスで宿を選ぶことが多かった。】【2019年2月6日補足・いただいたコメントによれば、やはりホテルハワイに泊まっていたとのこと。】

【補足】2020年2月時点でのホテルハワイ2エリア・3店舗の状況は、
駅前店:建物はそのまま。今後解体→マンション建設予定。※2020年秋のちょっとした話
中通(川反対岸)の新本店とラグーン:マンションと新ホテル計画が持ち上がり、建物はほぼ解体されたが、両計画は頓挫。今後は未定

2020年9月、新本店跡地が隣接地にある「北都ビルディング」の駐車場となる
ことが分かった。
2月に北都銀行グループの企業へ売却されていて、北都ビルの既存コインパーキングを拡張する形で、10月から50台分を供用。なお、北都ビルディングは、元秋田相互銀行→秋田あけぼの銀行本店だった建物で、北都銀行別館と称していたこともあった。

2021年12月、ラグーン跡地の着工見通しが明らかになった。
マンション着工断念後、2020年11月に大和ハウス工業が購入しており、2022年6月着工、2024年8月完成予定の14階建て「プレミスト秋田中通(仮称)」

2022年6月には予定通り着工し、文字入りの塀もなくなってしまった。

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30 コメント

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普通のホテルでした (あんなか)
2018-11-12 03:55:54
駅前店に泊まったことがあります。
最終列車で秋田駅に着き疲れてタクシーで帰るのも面倒で
話の種に宿泊したことがあります。
確か一泊3800円だったと思います。
パンフレットが置いてあり名前の由来がありました。
経営者がハワイに農園を持って居てその関係のようでした。
ビジネスホテルとしては可も不可も無く。
ただCS系の衛星テレビの映りが悪く「チャンネルNeko」が何とか映る状態でした。
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憧れのハワイ (taic02)
2018-11-13 00:15:26
単にハワイへの憧れの命名でなく、より踏み込んだ(?)由来があったのですね。

ちょっと珍しい使い方でしたね。郊外・市外から秋田市中央部へ通勤する人が、飲み会後に泊まることはわりとあったと聞きますが。
そういう用途での宿泊も、今はアルファーワンなど新しいビジネス系、プランによってはビュー/キャッスルクラスでも遜色ない価格になってしまいました。リニューアルされるというラグーンがどうなるのか、ちょっと興味があります。

テレビがデジタル化されて、総じて改善傾向にはあるようですが、テレビ受信環境が悪い宿は、未だにたまにあり、当たると少々残念です。その分、ゆっくり寝られて感謝するべきかもしれませんけどね…
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horn? (マイスタ-・フォ-ク)
2018-11-18 13:52:52
オ-ナ-さんは吹奏楽名門大学までhornを演奏されてましたから、、愛好曲なのでしょう🎵
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経営者指定? (taic02)
2018-11-19 00:04:59
広告主である経営者が、指定というか選曲したということでしたか。
社長自ら出演するCMというのが、全国版でも今も昔もあるくらいですから、BGMだけ控えめな自己主張といったところでしょうか。
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宮脇氏 (spkwt)
2019-02-05 12:37:13
2008年刊の「最長片道切符の旅 取材ノート」によると、秋田泊の項で「ホテルハワイ、4400円(サ込)…ロビーであんま4人の待機の姿に胸をつかれる。」との記載があります。
お見込み通り、ハワイ駅前店に投宿されたようです。

私自身は1990年、センター試験受験のために利用しました。会場の秋田大学まで、ぞろぞろ雪道を歩いて行ったのを思い出します。
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安心しました (taic02)
2019-02-06 00:07:39
検証いただきありがとうございます。4400円は当時としては安かったのでしょうね。今から思えば相対的に安くない気もします。

ホテルハワイから秋大手形キャンパスまでは、冬に受験生が歩くとなると、(心理的に)けっこう遠く感じるかもしれませんね。
といっても、今も手形周辺にホテルはないので、秋田駅周辺のホテル=秋田大学にいちばん近いホテルになるでしょう。
僕が受けた時は、市外受験生の列から逃れるように、一人こそこそと脇道へ入ったものでした。
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Unknown (roy)
2019-05-13 18:36:11
初めてコメントします。
通勤途中ホテルハワイを目にし、急に気になって調べてたらここへ辿り着きました。CMのBGM「ぽぽぽぽぽぽー♪」のくだりは地元民として懐かしく、分かるぅ〜って一人で相づち打ってました。
一時は栄華を極めたのでしょうが、駅前の廃墟は不気味ですよね。買い手がついて何か新しい物が出来る事を期待します。
面白い記事をありがとうございました。
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どういたしまして (taic02)
2019-05-15 00:07:55
ご覧いただき、ありがとうございます。
気にしだすと気になるものですよね。その後、目立った動きはないようで、さらに気になりますが…
秋田市民として、ホテルハワイの思い出と今後を、記憶と記録に留めておきましょう。
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中心市街地活性化 (奥州)
2020-02-15 20:54:23
とりあえず、ホテルハワイの建物は全て解体される事になり一安心です。ずっとあのままですと正直、街の景観にも影響を及ぼしますし、訪れた観光客にとっても悪い印象を与えるだけです。新本店とラグーン店の開発計画が白紙になってしまったのは残念でした。今まで、施工業者が決まらなかった理由で計画を中止するという事は聞いた事がありません。当初はNEOという企業が施工業者でしたが、建設資材を確保できずにずっと延期されてました。それから別の施工業者を探すも条件やスケジュールなどで折り合わず断念との内容でしたが、一番の理由はプレサンス社の社長が業務上横領事件で逮捕された事だと思います。その相手先が暴力団関係者との話も聞こえてきましたが、もはやそうなってしまうと会社のイメージ悪化は避けられず、次々交渉していった業者も断った訳でしょう。その反面、計画が順調にいけば、駅前店の開発も夢ではなかったでしょう。

先月下旬、ようやく駅前店に仙台市の企業が買い取ってくれた数日後に又マイナスな記事を見てしまっては、不安定な動きが続いています。今後先どうなるのか注視していきたいです。


中心市街地をめぐる動きは、ほぼ毎週新聞記事に載っているように思えます。フォンテAKITA地下には秋田市内を中心に展開するスーパー「ナイス」の出店も決まり、安心しました。新鮮で価格も安く、買い物の選択肢が増える事で、周辺テナントにも良い影響がもたらされる事を期待しています。ザ・ガーデンの閉店発表があった昨年10月から、およそ1ヶ月という短い期間の中で後継テナント候補が決まった事は駅前で進む再開発の期待があるからだと思います。車を使わず、電車やバスを利用する高齢者などにとっては良いニュースです。
そして、秋田OPAではスウェーデン企業のファッションショップ「H&M」の出店も決まりました。ユニクロやGUに似ているという事で、まさにOPAらしい若者向けの発信地になるでしょう。
更に、トピコ1階のテナントもいよいよ発表されます。閉店・移転したはなまるうどんや木の実堂、ミルクスタンドの跡地に何が出店するのか楽しみです。

公営駐車場の10月からの24時間営業も決まり、更なる人の流れが生まれる事でしょう。あとは、今年明けにも施工業者を決める予定であるホテルメトロポリタン増築工事の動きがまだありません。訪日外国人の増加や来年の東北DCに向けての措置かもしれませんが、コロナウイルスや台湾との定期チャーター便運航停止などの影響で計画が頓挫してしまう可能性も否めません。ここ10年、秋田市内に新ホテル建設がないので、計画通り進む事を願っております。
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計画中止と新計画 (taic02)
2020-02-16 23:27:32
新本店・ラグーンの計画中止の理由が、どこな不可解に感じられましたが、いろいろあったのですね。とりあえず古いホテルの建物がなくなったのは良しとするべきでしょうか。
駅前店は見慣れた大きなビルがなくなるのは感慨深く、跡地活用が決まりそうなのはいいですが、またマンションかという気もしてしまいます。マンションには駐車場が必要でしょうが、車が出入りしづらい立地かつ高低差のある土地の形状をどう使うかも気になります。

駅前のビルのテナントは、入れ替わりがあっても、新陳代謝とみなせるものでしょうか。
駅平面駐車場跡の芝生広場は、入札不調で遅れることになりました。メトロポリタン増築もそのようなことなのでしょうか。

暖冬とコロナウイルスの中でも、冬のまつりを見に来たと思われる、外国人を含む観光客の姿が秋田駅周辺で散見されました。ほんとうならもっと来てくれていたのでしょう。
オリンピックが終わった後、地方には厳しいものがあるかもしれませんが、盛り返してもらいたいものです。
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