鉄道推理小説(トラベルミステリー)およびそれを原作にしたドラマといえば西村京太郎。
余談だけど、3月21日放送の「情報ライブミヤネ屋」で、寝台特急カシオペア運行終了を取り上げたニュースの後、宮根氏のおしゃべりで「西村さんが生きてはったら…」と殺されかけた。(後に訂正・お詫びあり)
その代表作が「十津川警部シリーズ」。複数のテレビ局・出演者によって、ドラマ化されている。
有名なのは、渡瀬恒彦主演のTBS版と高橋英樹主演のテレ朝土曜ワイド劇場。
僕は原作は読んだことがなく、ドラマはTBS版を数作品見たことがある程度だった。
少し前、CSやケーブルテレビの「テレ朝チャンネル2」で、昔のテレ朝版を放送していたのを、たまたま見た。1988年4月2日放送の「日本海殺人ルート」(原作も同名)。先日取り上げた特急「白鳥」が舞台。
主演は英樹さんではなく三橋達也。1999年まで十津川役を演じ、2004年に亡くなったそうだが、存じ上げなかった。【30日追記】大変失礼ですが、渡瀬さんや英樹さんにの十津川警部と比べると、ずんぐりむっくりでイメージが違う…
相棒の亀井刑事(TBS版では伊東四朗)は、昨年亡くなった愛川欽也。英樹版でも続投したが、現在は高田純次に交代。
ほかに、今もテレ朝とTBS両方に出ている山村紅葉、一瞬、さまぁ~ずの大竹さんかと思ってしまった(←【30日補足】本作ではさほど感じなかった。別作品ではそっくり)森本レオなどが出演。
ものすごく大雑把なストーリー。
青森発の上り「白鳥」車内で殺人事件。容疑者には、その白鳥が京都駅に到着する1分前に同駅を出発する近鉄ビスタカーに乗って奈良へ行ったアリバイが…
といった感じ。
結論を言ってしまいますが、犯人は、殺害後、白鳥を新潟で降りて上越新幹線で東京へ出て、東海道新幹線で京都へ先回りしていたという、王道の時刻表トリック。(実際にはもうちょっと細々とありますが)
若干気になったのが、キンキンさんだけが、ビスタカーのことをずっと「ビスターカー」と呼んでいたこと。「vista car」だから「ビスタ“ー”カー」はおかしい。撮影現場で誰か指摘してやってよ。
それと、現在の旅番組などでも同様だけど、走行シーンで映る車両が、場面によってまちまちなこと。【31日補足】「同じ日の同じ便の車両」のはずなのに、場面によって外観がかなり異なる車両の映像が映るという意味です。
本作では、先頭車がボンネット型、ボンネットがない平らなもの(300番台か1000番台)、平らで屋根上ライトが2灯のもの(元北海道仕様の1500番台)が入れ替わり立ち替わり登場。【30日追記】オープニングのサブタイトルが映る場面では、平らで割れ目(貫通路)がある200番台も映る。少数派だったのか他のシーンでは登場しない。
さらに、遠景や一瞬で通過するシーンでは、少し短い列車もたまに映った。トンネルから出たシーンを静止させてみると、水色系統であるはずのヘッドマークが黄緑色。って「いなほ」でしょ!
鉄道車両に関心がある者としては気になってしょうがないけれど、ボンネットとそうでないのは、見た目がかなり違う。鉄道を知らない多くの視聴者でも「ん?」と思うのではないでしょうか…
(再掲)平らな485系先頭車
当時は、JR東日本の新潟所属の9両編成が使用されていた。製造時のままの国鉄色塗装で、車内も青色の座席など、原型のまま。【30日追記したのをさらに訂正】上記のように、先頭車はボンネット型と平らなのが混ざって運用されていた。ただし、少なくとも塗装変更後は、ボンネットの有無で車内の座席数が異なるので混乱を避けるため、指定席である青森寄りの先頭車1号車は常に平ら。自由席の9号車は両タイプが混ざっていた。したがって、塗装変更後は、両端ともボンネット型の編成はなかったはず。ドラマでは、上り列車なのにボンネット型が先頭のシーンがあるが、塗装変更前は、指定席側にもボンネット型が入ることがあったかもしれないし、あるいは下り列車を撮影した映像だったのかもしれない。←勘違いしていたので削除。青森から新潟までは自由席の9号車が先頭だから、ボンネットでも平らでも両方あり得た。それに、背景の日本海との位置関係から、下り列車の映像を使い回すのは難しい。
おそらくこの直後から、最近まで「いなほ」「北越」用などで残っていた白に青とエメラルドグリーンのラインが入る「上沼垂色」に塗り替えられ、車内もリニューアルが施されていく。
白鳥用は、1997年にJR西日本の京都の車両に変更され、再び国鉄色(主にボンネット型)が廃止時まで充当されることとなる。
(再掲)西日本所属だったボンネット型(新潟のものも見かけはほぼ同じ)
放送直前の1988年3月13日に青函トンネルが開通しているが、作中では開通直前・青函連絡船廃止間際の設定。亀井刑事は青森出身だそうで、消えゆく連絡船を懐かしむシーンがあった。
ほかに、青森で急行列車と思われる14系座席車、鶴岡で50系客車、上野止まりの東北上越新幹線200系、山手線の205系、0系ひかりなど、懐かしい列車の姿が見られた。
自分でも見たり乗ったりしたものばかりだが、昭和の最末期かつJR発足の1年後は、まだそんな鉄道の風景だったのかと、再認識。
それと、昼間の走行シーンでは、列車が前照灯(ヘッドライト)を点けずに走行していた。当時は、在来線では夜や悪天候など見通しが悪い時以外は、消していたのだ。
JR化と前後して常時点灯するようになったと記憶していたが、JRになってしばらくしてからだったことになる。
なお、現在でも一部私鉄では、昼は消灯している。
ホームの駅名標は、東海道新幹線は現在と同じオレンジ色ラインの入ったJR東海仕様なのに対し、JR東日本は在来線・新幹線とも、ほぼ国鉄時代のままだった。【30日追記】新幹線ホームの自動放送も、現在とは違う、開業時からの声・内容。
公衆電話は、テレホンカード対応の緑色電話の隣に、硬貨専用の黄色電話があった。
そんな時代だった。
ドラマによれば、当時の上り白鳥のダイヤは次の通り。※発/着の区別が不明だったり、明確に示されず推測したものがあります。
青森4時50分発→秋田3番線→鶴岡9時15分頃→新潟11時10分着→金沢15時03分→京都17時31分着→大阪18時01分着(13時間11分)
※京都では、先回りしたひかり17時01分着、ビスタカー17時30分発。
このルートを、現在のダイヤでたどってみると…
秋田と金沢での待ち時間が長く、乗っている時間では白鳥時代とさほど違わない。
ちなみに、26日の改正前では、青森→秋田が「つがる2号」1本で青森5時43分→秋田8時22分。いなほはほぼ同じ時刻なので、秋田での待ち時間が約1時間。
しらゆきとはくたかが、新潟13時38分→上越妙高15時37分、上越妙高15時45分→金沢16時48分というダイヤで、新潟での待ち時間が長かった。(秋田から金沢へ行くには、今改正でちょっと時間短縮されたことになる)
青森5時43分→大阪19時37分と最初と最後は2分ずれただけで、同じく13時間54分だった。
ドラマのように、新潟で上越新幹線で東京へ出て東海道新幹線に乗れば、京都には18時前には到着する。
ちなみに、秋田で秋田新幹線に乗り換えて、東京で東海道新幹線に乗ると、京都は15時半着。
さらに、秋田新幹線を大宮で下りて、北陸新幹線に乗り換えれば、上越妙高や金沢で、再び上記ルートに戻ることも可能。
かなり余裕のあるアリバイ工作ができそう。
上越妙高から北陸新幹線で東京へ出るのだと、さすがに間に合わない。
乗り換えなしで東北と関西を結んでいた「白鳥」には、それなりの需要はあったはずだが、やはり時間はかかるから、当時でも青森から関西まで乗る人はさほどいなかったようだ。
ドラマでも、乗車前日に「飛行機で行くのか」と尋ねられた被害者は、「日本海を眺めながら、京都までのんびりと列車の旅をしてみるわ」と話していた。
5回も乗り換える今では、「のんびり」とは言えないかもしれないし、割高になるだろうし、相当な物好きじゃないと利用しないでしょう。犯人にしてもタイミングがつかめなかったり、乗り換えを間違えてアリバイ工作に失敗したりして(?)、物語が(“殺人ルート”が)成立しないでしょうね。
テレ朝・三橋版では1985年に「特急“白鳥”十四時間」という別の白鳥が舞台の作品が作られているが、TBS版ではどちらも取り上げられていない。今となっては、もう映像化することは不可能。
【2018年2月1日追記】テレビ朝日の高橋・高田版で2014年7月に「寝台特急カシオペア&スーパーひたち連続殺人」というのが放送されていて、これは「日本海殺人ルート」のリメイク作品だそう。見ていないので分からないが、舞台を東日本太平洋側~北海道に置き換えたということか。
余談だけど、3月21日放送の「情報ライブミヤネ屋」で、寝台特急カシオペア運行終了を取り上げたニュースの後、宮根氏のおしゃべりで「西村さんが生きてはったら…」と殺されかけた。(後に訂正・お詫びあり)
その代表作が「十津川警部シリーズ」。複数のテレビ局・出演者によって、ドラマ化されている。
有名なのは、渡瀬恒彦主演のTBS版と高橋英樹主演のテレ朝土曜ワイド劇場。
僕は原作は読んだことがなく、ドラマはTBS版を数作品見たことがある程度だった。
少し前、CSやケーブルテレビの「テレ朝チャンネル2」で、昔のテレ朝版を放送していたのを、たまたま見た。1988年4月2日放送の「日本海殺人ルート」(原作も同名)。先日取り上げた特急「白鳥」が舞台。
主演は英樹さんではなく三橋達也。1999年まで十津川役を演じ、2004年に亡くなったそうだが、存じ上げなかった。【30日追記】大変失礼ですが、渡瀬さんや英樹さんにの十津川警部と比べると、ずんぐりむっくりでイメージが違う…
相棒の亀井刑事(TBS版では伊東四朗)は、昨年亡くなった愛川欽也。英樹版でも続投したが、現在は高田純次に交代。
ほかに、今もテレ朝とTBS両方に出ている山村紅葉、一瞬、さまぁ~ずの大竹さんかと思ってしまった(←【30日補足】本作ではさほど感じなかった。別作品ではそっくり)森本レオなどが出演。
ものすごく大雑把なストーリー。
青森発の上り「白鳥」車内で殺人事件。容疑者には、その白鳥が京都駅に到着する1分前に同駅を出発する近鉄ビスタカーに乗って奈良へ行ったアリバイが…
といった感じ。
結論を言ってしまいますが、犯人は、殺害後、白鳥を新潟で降りて上越新幹線で東京へ出て、東海道新幹線で京都へ先回りしていたという、王道の時刻表トリック。(実際にはもうちょっと細々とありますが)
若干気になったのが、キンキンさんだけが、ビスタカーのことをずっと「ビスターカー」と呼んでいたこと。「vista car」だから「ビスタ“ー”カー」はおかしい。撮影現場で誰か指摘してやってよ。
それと、現在の旅番組などでも同様だけど、走行シーンで映る車両が、場面によってまちまちなこと。【31日補足】「同じ日の同じ便の車両」のはずなのに、場面によって外観がかなり異なる車両の映像が映るという意味です。
本作では、先頭車がボンネット型、ボンネットがない平らなもの(300番台か1000番台)、平らで屋根上ライトが2灯のもの(元北海道仕様の1500番台)が入れ替わり立ち替わり登場。【30日追記】オープニングのサブタイトルが映る場面では、平らで割れ目(貫通路)がある200番台も映る。少数派だったのか他のシーンでは登場しない。
さらに、遠景や一瞬で通過するシーンでは、少し短い列車もたまに映った。トンネルから出たシーンを静止させてみると、水色系統であるはずのヘッドマークが黄緑色。って「いなほ」でしょ!
鉄道車両に関心がある者としては気になってしょうがないけれど、ボンネットとそうでないのは、見た目がかなり違う。鉄道を知らない多くの視聴者でも「ん?」と思うのではないでしょうか…
(再掲)平らな485系先頭車
当時は、JR東日本の新潟所属の9両編成が使用されていた。製造時のままの国鉄色塗装で、車内も青色の座席など、原型のまま。【30日追記したのをさらに訂正】上記のように、先頭車はボンネット型と平らなのが混ざって運用されていた。ただし、少なくとも塗装変更後は、ボンネットの有無で車内の座席数が異なるので混乱を避けるため、指定席である青森寄りの先頭車1号車は常に平ら。自由席の9号車は両タイプが混ざっていた。したがって、塗装変更後は、両端ともボンネット型の編成はなかったはず。
おそらくこの直後から、最近まで「いなほ」「北越」用などで残っていた白に青とエメラルドグリーンのラインが入る「上沼垂色」に塗り替えられ、車内もリニューアルが施されていく。
白鳥用は、1997年にJR西日本の京都の車両に変更され、再び国鉄色(主にボンネット型)が廃止時まで充当されることとなる。
(再掲)西日本所属だったボンネット型(新潟のものも見かけはほぼ同じ)
放送直前の1988年3月13日に青函トンネルが開通しているが、作中では開通直前・青函連絡船廃止間際の設定。亀井刑事は青森出身だそうで、消えゆく連絡船を懐かしむシーンがあった。
ほかに、青森で急行列車と思われる14系座席車、鶴岡で50系客車、上野止まりの東北上越新幹線200系、山手線の205系、0系ひかりなど、懐かしい列車の姿が見られた。
自分でも見たり乗ったりしたものばかりだが、昭和の最末期かつJR発足の1年後は、まだそんな鉄道の風景だったのかと、再認識。
それと、昼間の走行シーンでは、列車が前照灯(ヘッドライト)を点けずに走行していた。当時は、在来線では夜や悪天候など見通しが悪い時以外は、消していたのだ。
JR化と前後して常時点灯するようになったと記憶していたが、JRになってしばらくしてからだったことになる。
なお、現在でも一部私鉄では、昼は消灯している。
ホームの駅名標は、東海道新幹線は現在と同じオレンジ色ラインの入ったJR東海仕様なのに対し、JR東日本は在来線・新幹線とも、ほぼ国鉄時代のままだった。【30日追記】新幹線ホームの自動放送も、現在とは違う、開業時からの声・内容。
公衆電話は、テレホンカード対応の緑色電話の隣に、硬貨専用の黄色電話があった。
そんな時代だった。
ドラマによれば、当時の上り白鳥のダイヤは次の通り。※発/着の区別が不明だったり、明確に示されず推測したものがあります。
青森4時50分発→秋田3番線→鶴岡9時15分頃→新潟11時10分着→金沢15時03分→京都17時31分着→大阪18時01分着(13時間11分)
※京都では、先回りしたひかり17時01分着、ビスタカー17時30分発。
このルートを、現在のダイヤでたどってみると…
普通 青森5時45分→弘前6時25分
快速 弘前6時29分→秋田8時40分
いなほ8号 秋田9時15分→新潟12時57分
しらゆき6号 新潟13時04分→上越妙高15時04分
はくたか565号 上越妙高15時12分→金沢16時16分
サンダーバード38号 金沢16時55分→(京都19時08分)大阪19時39分
6本を乗り継いで計13時間54分。快速 弘前6時29分→秋田8時40分
いなほ8号 秋田9時15分→新潟12時57分
しらゆき6号 新潟13時04分→上越妙高15時04分
はくたか565号 上越妙高15時12分→金沢16時16分
サンダーバード38号 金沢16時55分→(京都19時08分)大阪19時39分
秋田と金沢での待ち時間が長く、乗っている時間では白鳥時代とさほど違わない。
ちなみに、26日の改正前では、青森→秋田が「つがる2号」1本で青森5時43分→秋田8時22分。いなほはほぼ同じ時刻なので、秋田での待ち時間が約1時間。
しらゆきとはくたかが、新潟13時38分→上越妙高15時37分、上越妙高15時45分→金沢16時48分というダイヤで、新潟での待ち時間が長かった。(秋田から金沢へ行くには、今改正でちょっと時間短縮されたことになる)
青森5時43分→大阪19時37分と最初と最後は2分ずれただけで、同じく13時間54分だった。
ドラマのように、新潟で上越新幹線で東京へ出て東海道新幹線に乗れば、京都には18時前には到着する。
ちなみに、秋田で秋田新幹線に乗り換えて、東京で東海道新幹線に乗ると、京都は15時半着。
さらに、秋田新幹線を大宮で下りて、北陸新幹線に乗り換えれば、上越妙高や金沢で、再び上記ルートに戻ることも可能。
かなり余裕のあるアリバイ工作ができそう。
上越妙高から北陸新幹線で東京へ出るのだと、さすがに間に合わない。
乗り換えなしで東北と関西を結んでいた「白鳥」には、それなりの需要はあったはずだが、やはり時間はかかるから、当時でも青森から関西まで乗る人はさほどいなかったようだ。
ドラマでも、乗車前日に「飛行機で行くのか」と尋ねられた被害者は、「日本海を眺めながら、京都までのんびりと列車の旅をしてみるわ」と話していた。
5回も乗り換える今では、「のんびり」とは言えないかもしれないし、割高になるだろうし、相当な物好きじゃないと利用しないでしょう。犯人にしてもタイミングがつかめなかったり、乗り換えを間違えてアリバイ工作に失敗したりして(?)、物語が(“殺人ルート”が)成立しないでしょうね。
テレ朝・三橋版では1985年に「特急“白鳥”十四時間」という別の白鳥が舞台の作品が作られているが、TBS版ではどちらも取り上げられていない。今となっては、もう映像化することは不可能。
【2018年2月1日追記】テレビ朝日の高橋・高田版で2014年7月に「寝台特急カシオペア&スーパーひたち連続殺人」というのが放送されていて、これは「日本海殺人ルート」のリメイク作品だそう。見ていないので分からないが、舞台を東日本太平洋側~北海道に置き換えたということか。