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オープンキャンパスは誰のもの

2012-09-25 23:20:33 | 秋田のいろいろ
秋田魁新報2面の社説が掲載される位置は、月曜日は秋田県に関係した各界の人物による「月曜論壇」という欄になる。
9月24日は、1938年秋田市出身でフィデアホールディングス取締役会議長、北都銀行会長の町田睿(さとる)氏が「高等教育の課題」というタイトルで執筆。
※山形の荘内銀行と秋田の北都銀行が経営統合し、その持株会社がフィデアホールディングス

町田氏はこの4月から、山形県庄内地方(本部は酒田市)にある東北公益文科大学の学長に就任したという。
論壇ではそれに関連して、これからの高等教育はコミュニケーション能力が必要だという方向で話が進んでいた。
その中で町田氏は、「少子高齢化がますます加速する中で、子どもはますます手厚く保護され甘やかされて」「卒業式も本人たちの数よりも保護者たちのほうが多いのは珍しくない」などと、要は今の学生は保護者が面倒を見すぎている、過保護だと言っている。


中盤では、東北公益文科大学ではオープンキャンパスを頻繁に行なって大学のPRに努めていることを述べている。
そこでは、「オープンキャンパス」という言葉について、カッコ内で解説してくれている。

オープンキャンパスが始まったのは、ここ10年ちょっとの間(僕の頃は一般的ではなかったし、あっても「体験入学」と言っていたはず)だから、知らない人も多いだろう。町田氏の配慮か、魁側が気を利かせて注釈を入れたのか。
それを引用すると「高校の進学担当教員や保護者を招き、大学構内の施設案内やカリキュラム、奨学金制度、就職状況などを説明する催し」だそうだ。

これって、ちょっと違いません?
「高校の進学担当教員や保護者を招き」という部分が、引っかかる。「受験者本人」が抜けているのではないでしょうかね?

個人的には、オープンキャンパスは「その大学への受験・入学を希望したり検討候補に入れている生徒(受験予定者)、及びその保護者、教員に対し、大学を開放・公開して見てもらう催し」だと、考える。
模擬授業や先輩による案内や相談、学食利用などが実施されることが多いが、それらを親や先生が体験したって、意味がない。

保護者や教員向けに説明をするだけなら、それは「保護者・教員向け大学説明会」に過ぎないのではないだろうか。(オープンキャンパスの催しの1つとして、内包して開催されるならそれはそれでいいけれど)
もちろん、進学先を決めるに当たっては、保護者の意見や同意は必要だし、教員の助言も有効だろう。でも、高校生なんだから本人の意志・意向や大学との相性だってとても重要だ。
オープンキャンパスとは、受験生・進学希望者本人向けであることが第一のイベントではないだろうか。
また、実際に、子どもだけでオープンキャンパスに参加するケースも多いと聞く。


町田氏(あるいは町田氏が学長を務める大学)は、論壇の末尾では「今の学生は過保護だ」と言っておきながら、大学のオープンキャンパスに子どもは来なくていい、保護者が来て判断して過保護に受験・入学させればいいと思っているのだろうか。


東北公益文科大学のオープンキャンパスについてのホームページを見ると、

オープンキャンパスの参加対象は「高校生、保護者、高校教員」または「どなたでも」となっている。
少なくとも大学側では、受験予定者に来てほしいと考えているようだ。安心した。
学長さんの思い込みか、注釈文の間違い(配慮・思慮の不足)だと思われる。


重箱の隅をつつくような揚げ足取りで申しわけないのですが、企業や団体はお客・利用者のことを第一に考えてほしいし、教育機関(学校)はそこに通う人のことを忘れず、その人たちの立場になって、業務にあたってほしい。このような直接関係のない、些細なことであっても。
コメント (4)
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