広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

車両センター公開2

2012-09-17 21:14:39 | 秋田のいろいろ
前回に続いて、JR東日本の車両基地「秋田車両センター」一般公開の模様。
前回も、昨年も書いたけれど、門と新幹線車両が展示された場所を行き来する時には、線路を横断する。
その線路は、車両センターへ出入りする車両(新幹線、在来線とも)が頻繁に通るので、両側に無線機を持った社員が立って、ロープを遮断機代わりにして来場者を止めたり誘導する、“踏切”があった。
門・駐車スペース側から

反対側・建物の中から
目の前をこまちがゆっくりと通過し、車両基地へ来たことを実感する場所。
待たされてもみんな楽しそう


以下、在来線の車両についてです。
前回の最後で「在来線側もなかなか見応えのある展示だった」としたけれど、考えてみれば展示車両は多くなく、鉄道に興味のない方や遠来の方には、物足りなかったかもしれない。
でも、秋田ならではの車両もいたし、のんびりと見学できるのが何より。

在来線側の展示は、門を入って右側、跨線橋の下を潜りながら駐車スペースを抜けて南へ進んだところ。
南方向。左の建物が「洗浄仕業庫」、見えないがその左でE6系が展示
上の写真中央の建物のうち、右(東)側半分付近が公開された。左側は「修繕庫#1~3」というそうだ。

道すがら、駐車スペースと渾然一体とした辺りで、
機関車(とバラストを運ぶ貨車)が展示
奥がディーゼル機関車「DE10 1759」。JR東日本所属なので貨物列車はひかないけれど、事業用車両をひくなどして、永年に渡って秋田の鉄道を支えている。
手前が以前も記事にしたゾロ目の電気機関車「ED75 777」。
ピカピカでお元気な様子(展示終了後、土崎で検査を終えた客車を青森まで運んだようだ)

在来線側の建物には、南側(転車台付近)から回りこんで入る形になり、その前では、ミニSLの運行と、
「583系電車」が展示
これこそ、今や貴重な車両なのです。

この583系電車は、先日紹介した「いなほ」に使われている485系電車の国鉄色塗装の色違いみたいなデザイン。
昭和40年代前半に誕生した583系電車は、1つの車両を昼は座席車・夜は寝台車として効率的に使えるのが特徴。
平成の初め頃までは、東北本線では夜は「はくつる」「ゆうづる」、昼は「はつかり」などとして走っていた(いずれも特急)。
秋田県内(秋田鉄道管理局~JR東日本秋田支社管内)では、定期列車として走ったことはないはず【19日訂正・コメントでご指摘いただいたとおり、1990年代に急行「津軽」として使われたことがある】。でも、団体列車としてはよく使われ、北海道への中学校の修学旅行(座席仕様で青森まで)、関西への高校の修学旅行(特に航空機利用が認められなかった当時)や甲子園応援列車、そして東京ディズニーリゾートへのツアー「わくわくドリーム号」などで見たり乗ったりした方もいるはず。

そんな583系も、設備が時代に合わなくなり、車両が老朽化したため、廃車が進んでいた。
2002年の東北新幹線八戸開業時には、青森に残っていた583系が仙台と秋田に1本ずつ転属(他は廃車)。
秋田では、2009年正月2010年正月のように、繁忙期の特急列車代走に使われたりもしてきた。

大事に使われていたように思えた秋田の583系だったが、それでも老朽化には勝てなかったようで、いつの間にか廃車になっていたそうだ。
代わりに、(比較的状態が良かった)仙台にいた583系が2011年8月付けで転属し、従来同様に使われている。(今年は夏祭りの時に臨時特急として走った)
所属の表示は「仙セン」で仙台のままだった
したがって、今回展示された583系は、以前のものとは別の編成(車両)ということになる。
そして、JR東日本が保有する唯一の583系電車にもなってしまった。
※583系はJR西日本も所有(別の塗装に変えられている)するが、そちらも残りわずか3本。
青空に映える
583系が特急として走っていたことなど知るはずもない小さな子どもが「とっきゅうだ!」と喜んだ駆け寄っていたのは、583系の風格がそう感じさせたのだろうか。

秋田の583系は6両編成なのだけど、外に展示されていたのは3両だけ。(6号車クハネ583-17が先頭)
反対側3両は中にいた。先頭はクハネ583-8

展示された両先頭車のヘッドマーク(トレインマーク)は、別々のものが表示されていた。
最近のこういうマークは、パソコンで作成したシールを貼ることもあるが、どちらもちゃんと中のフイルムにセットされているコマのようだ。
屋内展示は「わくわくドリーム号」
秋田ではおなじみ、学校の休みなどに合わせて運行される、舞浜行き団体列車のマーク。
よく見ると、「TM」と小さく書いてあるので、JRの登録商標なんだろうか。英語は「WAKU WAKU DREAM EXPRESS」。

屋外展示は「ふるさとゴロンと号」。周囲に余白があるのがなんとも
帰省シーズン(主に年末に1回だけかな)に時々、上野-秋田-青森方面で運行される夜行列車のコマ。
寝台をセットするけれど浴衣などはなく、座席特急料金で乗車できる列車。(「あけぼの」でおなじみの「ゴロンとシート」と同趣旨)
それにしても、かわいらしいイラストの動物は何だろう? ラッコ、カワウソ、イタチ、テン、オコジョのどれか?(いずれもイタチ科)
そしてヘッドマークに「号」まで表示されるのが考えてみれば、とても珍しい。

屋外の3両は、車内も公開されていた。
向かって右から乗って、左から降りる
先日のバスまつりもそうだったけど、こういう屋外展示車両って、中が蒸し暑くていられたものじゃない、と思いながら、貴重な583系の車内だから入ってみると…
「ご自由にお休み下さい」
照明は消えていたけれど、空調は程よく作動していて、快適!
26.0度
トイレも使えたようだ。
上の写真の左に写っている「便所使用知らせ燈」が懐かしい。
昔の国鉄の車両にはどれも同じ物が設置されていたけれど、ネーミングとかデザインとかもうちょっとなんとかできなかったものだろうか。いかにも国鉄らしいアイテムだと思う。


ところで、「あけぼの」や「日本海」のような客車の寝台になじんでいる秋田の人には、寝台列車(B寝台)といえば線路や通路と直角に寝るタイプ(4人か6人で1区画)ではないだろうか。
でも、583系はベッドの並び方が違う。線路と並行に、通路の両側にベッドが並ぶ配置(「日本海」のA寝台もそうだった)。

最近の秋田支社の団体旅行(伊豆・信州方面など)では、通路の片側だけ寝台をセットし、反対側は座席の状態にしている。
フルに寝台をセットするほどお客はいないのだろうし、狭いベッド(3段式なので天地方向が特に)で長期間過ごすより、座席に座ってくつろげるように配慮したのだろう。
今回は、その状態で展示されていた。
僕は座席だけ・寝台だけの状態は乗ったことがあったが、これは初めて見る光景。
3段寝台が壁のように立ちはだかる

中途半端なような不思議な光景に見えてしまった
窓が塞がれて寝台側の景色が見えないのは、つまらないかも。

583系は、座席の時は、2人掛けが向き合うボックスシートになる。椅子の座り心地や足元の広さはまあまあなのだが、リクライニングせず、向かい合わせで特急用というのも、時代に合わない。

寝台の時も、時代遅れの3段式。
僕は下段に乗ったことがあるのだが、下段は無理すれば座った状態で着替えられるくらいの高さはあり、幅はそこそこ広くて、大きな窓を独り占めでき、けっこう好きなんですけどね。“窓付きの押入れ”で寝ているみたいで。
遮音性や乗り心地もよく、音や揺れはほとんど気にならなかった印象がある。
下段は寝台の時はマットレスが敷かれる
一方、中段と上段は、寝ることしかできなさそうな空間。
今回は「3段目の見学はご遠慮下さい」となっていたけれど、転落防止のためだろうか。


今回の車内へ出入りは、客用ドアではなく、先頭の運転台のドアが使われた。
運転席を覗くことができた
運転席は思ったほど高くなく、着席スペースは狭い。

涼みがてら、今や貴重な583系の車内を楽しく見学していた人が多かった。

建物の中では、普通列車用の701系電車やキハ40系気動車(いずれも外観のみ)も展示され、スタンプラリーの景品引き換えや、三文店としてポップコーンかなんかの出店があった。

隅っこから、公開されていない修繕庫#1~3のほうを覗くと、
こんな顔ぶれ
秋田車両センターに所属するもう1台のED75である「ED75 767」と、秋田にしかいない検測車「East i-D(エンジンがかかっていた)」が整備を受けていたようだ。

こんな感じの秋田車両センター一般公開でした。
土崎の秋田総合車両センター(旧土崎工場)のほうは、一般公開するのかな?
コメント (5)
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