広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

三平バスの今後は?

2012-09-13 20:39:56 | 秋田のいろいろ
冒頭の写真は、秋田中央交通の中型路線バス「いすゞエルガミオ」。
モデルチェンジから10年以上が過ぎ、中型バスといすゞ自動車をこよなく愛する中央交通において最多勢力となった。もう見飽きるくらい秋田の街を走り回っている。

中央交通のエルガミオは、どれも外見に大きな違いはなく(冷房装置やホイールベースが異なるものはあるらしい)、区別しにくい。最近は小田急バスからの中古車もあるが、それも同じく。
明確に区別できるものといえば、車体に漫画「釣りキチ三平」の主人公・三平三平(みひらさんぺい)を描いた「三平バス」くらい。


で、冒頭の写真のエルガミオは「秋田200 か133」。だいぶ古いナンバーだけど、妙に塗装がきれい。
これって…
再掲・今年5月撮影)これ!
なんと、三平バスだった車両が緑の通常塗装にされて、三平バスでなくなってしまった!?
リアウィンドウには、今までなかった「アイドリングストップバス」の大きな文字。

ところで、三平バスは、車内の座席にも三平が描かれている。それはどうなっただろう?
ガラスに色が付いていて分かりにくけれど、
座席はそのまま三平柄(社名表記は中“宍”交通ではない)
これじゃあ、中途半端な「中だけ三平バス」だ。


中央交通では、最近、古い車両の塗装のし直しに力を入れているようだ。緑の通常塗装車の中には、同じ緑の塗装に塗り直された車両が何台かある。小田急からの中古車導入が一段落して、塗装工場が空いたのかもしれない。
でも、三平バスから一般塗装に塗り替えというのは、びっくり。

三平バスは、もう11年走り続けているだけに、端々に錆が出ているものもあり、再塗装(塗装変更)に着手したのだろうか。
1年前に撮影した「133」
ちょうど1年前に撮影した、同じ車両の写真があった。
たしかに、中ドア付近の車外スピーカーやタイヤ周辺に錆が出てはいるが、中央交通ではこんなバスは珍しくない。
もっとボロボロの通常塗装車さえあるのだけど(それはそのまま廃車まで使い倒すのだろう)。


三平バスは2001年に秋田中央交通の創業80周年を記念して導入された。路線バス用は15台だか16台あり、秋田営業所に配置されて旧秋田東営業所担当の路線を中心に走っている。
漫画「釣りキチ三平」の作者の矢口高雄氏は秋田県出身ではあるが、中央交通の運行エリアではない横手市増田。作品の舞台が特に運行エリア内というわけでもないはず。
どうも、中央交通のワタナベ社長が矢口氏と旧知であったため、実現したらしい。

作品名は「釣りキチ三平」であるが、バスは「三平バス」が正式名称(車両正面に表記)であり、「“釣りキチ”三平バス」ではない。その意図や著作権表示はなし。
「釣りキチ三平」自体を知らない人もいるだろうし、秋田や中央交通と釣りキチ三平の関係を知らない人もいるわけで、そうした点の周知は足りない。(中央交通ではよくあることですが)
でも、秋田を訪れた人が見たり乗ったりして喜んだという旅行記などがネット上で見受けられ、秋田や秋田のバスのイメージアップには貢献している。秋田のバスとしては評価できる事業かと思う。

なお、たまに三平バスのことを「ラッピングバス」と呼ぶ人がいるが、それは正しくないと思う。
ラッピングバスは通常塗装の上に、デザインを印刷した全面シートを貼りつけるもの。シートが劣化するので3年程度が限度。しかし、三平バスは、製造時に最初から白・水色・クリーム色で塗装した車体に、三平の絵を貼りつけたもの。
広告目的ではなく創業周年記念車でもあるので、「ラッピング」ではなく「特別塗装」ととらえるべきだと考える。


中央交通のことだから、約10年後の創業100周年のあかつきにも、三平バスはボロボロになって走っているのではないかと予想していたので、塗装通常化は意外だった。
特別なバスだからこそ、ひどくならないうちに塗り替えたのかもしれない。

でも、せっかくの三平くんを剥がしてしまったのは、もったいない。見かけ上は「三平バス」が減ることになるのだから。
三平を残したまま、塗装し直すことはできなかったのだろうか。
そして矢口さんはこのこと、すなわち自分の“作品”が減ってしまったことをご存知なのだろうか。
(スペインの教会の傷んだ宗教画を、地元のおばあさんが善意で修復したら、キリストがサルのようになってしまって世界的ニュースになったが、それと同じく下手にいじっておかしくなるのを恐れたのかもしれないが)

また、座席の柄がそのままということは、車内を見てしまえば、このバス(の外装)が元・三平バスであったことがバレてしまう。
最近、三平バスに何度か乗った限りでは、シートの交換が必要なほど傷んだものはないと感じたので、無駄なことはしなかったのだろう。(小田急中古車の板みたいなシートこそ換えてほしい!)
だけど、それによって中途半端な「中だけ三平バス」になってしまったのも、なんだかなあという感じがした。

秋田駅東口に3台の三平バスが集結(中央の1台だけ日野レインボー)
他の三平バスは引き続き走っているのをよく見るので、塗装が変わったのは、今のところこの1台だけなのかもしれない。
でも、もしかしたら、今後、(少なくとも外見は)三平バスは減っていくのかもしれない。

【11月20日追記】同型の「137」も緑塗装に変わっていた(座席は三平のまま)。一方、124、138などは三平バスのままなのを確認。
【2013年2月2日追記】やはりいすゞの「132」も緑塗装に変わり、座席はそのまま。三平バスのままの車両も、いすゞ、日野ともまだ多く走っている。
※その後、貸切車両の三平バスも…

【2017年4月10日追記】この後、2016年秋までに、路線用三平バスの全車両が緑の一般塗装に変更され、外観としての三平バスはなくなってしまった。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする