治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

奄美鹿児島の旅 見えてきた課題 その3

2018-09-19 09:20:55 | 日記



波が穏やかになった海でたくさん遊びます。
お昼も店に行く時間はもったいないので奇跡的にあったコンビニで「島人(しまんちゅ)握り」を買って食べました。
普通のおにぎりです。でもローカルなコンビニで仕入れが大手と違いますから、要するに近所の人が握って出している感じです。

様々なマリンスポーツをしている人もいます。そして雇用を発生させています。
南国奄美大島とはいえマリンスポーツにはシーズンもあるし、荒天の日もある。
一年のうち、稼げない日も多そうな商売です。だから単価は高くなりますね。
海では身ひとつで遊ぶのが一番好きな私としては、バナナボートとか何が面白いのかなあ、と思います。
でもシュノーケリングにはちょっと惹かれますね。

でもうみんちゅのお兄さんたちに特に発注することなくひとりで波を楽しんでいました。
おさかなはちょっと見たいな。
と思ったのでシュノーケリングの人たちが集まっている辺に行ってみました。

そうやって遊びながら考えていました。
「家でやらせるな」と言ったお母さんのお子さんは、それなりにクラスでの身体アプローチを含めたお勉強を楽しんでいたそうです。
でもお母さんは「家でやらせるな」と言う。
ある意味焦っているフェーズなのでしょう。各種勉強会に必死に行っている方らしいのでギョーカイ系の枝葉末節な療育観に洗脳されていて、(枝葉末節という鋭い指摘については大久保さんのこちらのブログをごらください)むしろ積極的なアンチだったのかもしれません。
そしてその方が救われます。
なぜなら「家でやらせるな」というのがお母さんの本心だとすると、お子さんは一生苦労を背負い込むかもしれないから。

このご報告を受けたとき、私が当該の通級の先生に言ったのは
「そのお母さんは時給ナンボで働いている人じゃないですか?」ということです。
若い頃は知らないけど、今はそういう仕事をしている人だということでした。
いや、そう言っても時給ナンボで働いている人を貶す気持ちはないですよ。
ママたちのキャリアはどうしても中断しがちだし、いざお金が必要になって働きに出るとなると時給ナンボの仕事が大半でしょう。その事情はよくわかっています。

ただ、時給が払われる時間だけが仕事時間であり
「家では土台づくりをしない」「学校で済ませろ」という労働倫理だと、平成の次の世は生き抜けないだろうし
親がそういう労働倫理を持っていると、子どもが社会でサバイバルするのは大変になるだろうからです。

アスペルガーの人が社会に出てつまずく大きな理由の一つに「見えないものは、ない」があります。
会社に入ってひんしゅくを買う理由の一つが「行けば金をもらえるとカンチガイしていた」なのです。これは何人もの人から体験として聞いています。
けれども仕事というものは、一アウトプットするのなら十から百の土台づくりが必要。
裏付けの努力が必要です。
それをブラックだと思う人はおそらく、労働市場で生き残っていけないと思います。


そして今後、AIと共存していく世代においては、ますますそうした「労働者としての土台作り」の有無が社会での評価(つまり仕事のチャンスとか)を左右していくでしょう。
そしてもしこのお母さんが本当に「学校のことは学校ですませろ」と思っていたのなら、身体づくりをしないことより、そっちの方がダメージ大きそうですね。

これには昨今の消費活動が深く関係していそうです。
身一つで遊ぶよりバナナボート、みたいな。そっちの方が面白いみたいな洗脳。
バナナボートなんかなかった昔は、親子で身体使って遊んだものです。
けれどもそれだと、うみんちゅのお兄さんたちに売り上げが発生しない。
だから産業側が必死に考えてなんか有料の遊びを作り出すと、みんなそれを消費することこそ思い出づくりのように思えてくるのです。
親と一緒にプールで遊ばずスイミングスクールに送るの図、です。

かつて療育は、家でするものでした。
それが「もっと支援があれば」というかけ声の結果各種業者がそろってみると、今度は「パッケージで買う」「アウトソーシングする」ものになっているのです。

皆さん今朝顔を洗いにエステに行きました、っていう人はいないと思います。
顔を洗ってあれやこれやを塗ったり、それぞれ自分の決めたルーティンに従って自力でやったと思います。
それが土台作りなんですよ。
それを家でやってくださいと言っただけなんですよね。
なのに療育となるとすべて「外でやってください」っていうのはいったいなんなんでしょうね。
ところが「専門性。専門性」を謳う人たちにとっては、それこそ思う壺なんですよね。

バナナボートにも乗らず、シュノーケリングツアーにも参加せず一人でぷかぷか浮いておさかなを見に行って波で戯れるだけの私はうみんちゅのお兄さんたちにとって美味しい存在ではなかったと思います。
今度夫と一緒に来たらなんかツアーに入るね、ごめんね、と心の中で言いながら
でもすっかり満足して、プールに引き上げました。
そしてシャワーを浴びて、洗濯しに行き
夕日を見ながらビールを飲みました。

夕飯は一度は食べておきたい鶏飯と刺身のセット。それに前日すっかり気に入ったもずくの天ぷらをつけました。





単品のもずくの天ぷらは600円だったので、東京値段で考える私はたいして出てこないだろうとたかをくくっていたらたくさん出てきてしまいました。
でも全部食べちゃいました。
部屋に戻ってうとうとしているうちに、寝てしまいました。

早く寝たので3時半に目が覚めます。
まだ暗い外に出てみます。
星がたくさん。感激する都会人。

いよいよ鹿児島です。

続く

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1 コメント

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他人まかせは… (ねてまて)
2018-09-19 17:52:58
最近、仕事に必要な勉強をしたり、インプットしない(そういう努力をしない)人が増えたなあとは感じていました。

これはあなたの仕事ですよ、と言われても基礎知識すら身につけようとしない。

そして、マニュアルがないのが悪い、とか、えー、そこから教えないといけないの??なミス。

土台、大事です。会社に行くだけでお給料もらえるわけない。
そうか、そういう、見えないものはない、もあるんですね。これは治さないと大変。
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