治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

源氏物語と自閉っ子

2013-05-04 10:38:57 | 日記
「みんな違って、みんないい」を実は一番わかっていないのは自閉っ子関係者だということは有名な話である。
(例:猿烏賊の言論統一欲はすさまじい)

以前私が「源氏物語は嫌いだ。平家物語の方が好き」って言ったとき某自閉の人から
「え? そういうこと言っていいんですか?」と驚かれたことがある。
その人も実は源氏物語はつまらん、と思っていたらしいのだが
世間では名作とされているから、けなしちゃいけないと思っていたらしい。

そんなことはないよ。
私はいろんな訳を読んだ。でもどうしても好きになれない。
主人公が魅力的な人物でないのが決定的である。
それにひきかえ、平家物語に出てくる人物たちのキャラだっていることといったら。源氏違いの源氏の人たちも含めて。

こういう感じ方は個人個人のものなので
源氏物語が好きでたまらない人に「いけないんだよ」とか押しつけない限り
表明したっていいのである。

試しにネットで見てみると
「源氏物語キライ」っていう人それなりにいるよ。
有名どころでは森鴎外が嫌いだったらしい。おお、なんだかわかるね。
それと熱心な皇室崇拝者の中にも嫌いな人がいるらしい。そりゃそうだろうね。光源氏のような人が皇族の先祖であってほしくないという気持ちがある人は、皇室支持者の中にこそいても不思議ではない。

全体から見ると少数かもしれないけど、いるんですよ。

っていうわけで、自閉っ子の一部は変人枠で生きていったほうがラクなのに
自らそれを選ばないというか、選んではいけないと思い込んでいる人がいて
それは私、むしろ症状の一つみたいなもんだと思っています。
勝手に過剰適応を強いられているように感じ、世の中を無駄に恨んでいるというか。
逆に言うと、環境的にここから解放されているASDの人は強いのよ。

先日お話を聞いたASDの人は、最初から親御さんに人と異なる道の有用性を説かれていた。
そういう親御さんがいるのはラッキーだ。
でも不思議なことに、そうじゃない人が多いよね。

本当は、みんなと同じになりたいともがけばもがくほど、生きにくくなるのだけれど。

さて「自閉っ子と未来への希望」に、ある養護学校に講演に行ったとき出会った少年のことが書いてあります。
かわいい少年でした。その彼が、私たちの講演を聴き終わってから教えてくれた感想。

「僕は今日、二つのことを学びました。ひとつは、これまで何か出来事があると、僕だけみんなと感じ方が違うんですけど、それは悪いことじゃないんだ、感じ方は違っててもいいんだ、っていうことがわかりました」

その通りなのだよ。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御意 (お頭)
2013-05-05 09:31:16
こんにちわ。

一卵性双生児だって顔が違う、顔だけじゃないですし、
だから今更違ってていい、って言われても...。
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確かに (浅見淳子)
2013-05-06 09:04:16
お頭さん、ようこそ。
確かに、みんな違ってるのは当たり前です。
それをどうして強調するんだろう。ちょっと不思議になりました。
またお越しくださいませ。
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