平塚にあるキリスト教会 平塚バプテスト教会 

神奈川県平塚市にあるプロテスタントのキリスト教会です。牧師によるキリスト教や湘南地域情報、世相のつれづれ日記です。

映画『そして父になる』

2013-10-01 06:50:21 | 牧師室だより

牧師室だより 2013年9月29日 映画『そして父になる』

 久し振りに映画を観た。「そして父になる」である。見ごたえのある映画だった。もう一度、じっくり観てみたい。是枝裕和監督、福山雅治主演。カンヌ国際映画祭審査員賞受賞。

 他人の子どもだったことを知らされた二つの家族が抱く苦悩や葛藤を描いたドラマ。大手建設会社に勤務し、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々宮良多は、人生の勝ち組で誰もがうらやむエリート街道を歩んできた。そんなある日、病院からの電話で、6歳になる息子が出生時に取り違えられた他人の子どもだと判明する。妻のみどりや取り違えの起こった相手方の斎木夫妻は、それぞれ育てた子どもを手放すことに苦しむが、どうせなら早い方がいいという良多の意見で、互いの子どもを“交換”することになるが……。

 福山演じる父親の良多は妻のみどりに「なぜ気づかなかったのか」と責め、さらに「やはりそうだったのか」と息子の成長にひそかに不満と不信をもっていたことを告白し、夫婦に亀裂が生じる。

 交換を試みる間に、血のつながりか愛した時間か、と葛藤する良多。金で解決しようとする良多に対して「金で買えるものと買えないものがある」と反発する斎木夫妻。親たちが困惑する中で、不安と不信に陥る二人の子どもたち。重いテーマだが、テンポよくドラマは進行し、何気ない台詞にしても、ディテール(細部)まできっちり描かれている画面は見事。

 「他者と生きる難しさや喜ばしさを描いた映画」と批評家。誰かがお金の話をすると軽蔑するくせに、つい自分もそういうことを口にしてしまう、人間性の矛盾と二重性が描かれてもいる。

 私たちは関係性の中に生きている。先日の「連合の集い」の講演をされた吉高叶先生が「関わる」ことは、「○○であることから、○○になっていく」ことが大事で、関係が○○になる時に大切なことは、視線を合わせることだと言われた。どこに視線を置くか、それが問われる。