平塚にあるキリスト教会 平塚バプテスト教会 

神奈川県平塚市にあるプロテスタントのキリスト教会です。牧師によるキリスト教や湘南地域情報、世相のつれづれ日記です。

そして兄弟になる

2013-10-08 11:47:00 | 牧師室だより

牧師室だより 2013年10月6日 そして兄弟になる

 私は、姉、兄、私と三人兄弟の末っ子である。しかし、実は妹がいる。別に親の隠し子なんてものではない。血はつながっていない。ふみちゃんという目のクリクリしたかわいい子どもであった。今では立派なおばさんだが……。

 ふみちゃんは、祖父のお弟子さん(すでに独立して工務店を営んでいた)の子どもである。彼女の母親が高齢出産と病弱なため、2歳の時から我が家に預けられて、小学校に入学するまで共に生活した。その時、私は小学生で事情がよく分からず、気がついたら彼女がいつもそばにいたという感じであった。

 一番年が近いこともあって、私はいつも彼女を連れて遊んだ。というより、子守をしていたという方が正確か。彼女が実家に戻った後も、互いによく行ったり来たりして遊んだ。その後、大人になってからも冠婚葬祭の時や盆、正月には必ず顔を出し一緒に会食した。年老いた私の祖父母や父母にも気遣ってよくお見舞いや世話をしてくれた。私が帰省すると、必ず朝の魚市場で仕入れた新鮮なブリやタイ、ハマチなど一本持ってきてくれた。「東京じゃ、おいしい刺身は食べられないだろうから」と言って。

 15年前、私の父の葬儀の時、火葬場から戻り、その日のうちに初七日の法要をすませ、やれやれと言って身内だけの会食の準備が始まった。その時ふみちゃんは遠慮があったのか帰ろうとしたので、兄が「遠慮せんでええ。ふみちゃんはわしらの兄弟みたいなもんやから」と引きとめた。すると、彼女は急に涙を流して、「ありがとう。これからもよろしくお願いします」と言った。そばにいた姉も「ええんよ。今までもそうだったんだから。遠慮しなさんなよ」と励ました。

 今までお互いそのような気持ちでいたのだが、口に出して言うのもなんだかおもはゆいというか、決まりが悪かったのだ。父の死が互いに兄弟としての絆を確認させてくれたのだった。