平塚にあるキリスト教会 平塚バプテスト教会 

神奈川県平塚市にあるプロテスタントのキリスト教会です。牧師によるキリスト教や湘南地域情報、世相のつれづれ日記です。

目標を持とう

2010-05-11 09:33:47 | 牧師室だより

牧師室だより 2010年5月9日 目標を持とう

 「よりよく生きるために欠かせないものは何か。それはやはり、目標でしょう」と加賀乙彦氏(1929年生、精神科医、作家、カトリック信者)は『不幸な国の幸福論』(集英社新書 2009年)で書いている(217p)。皆さんは「目標」を持っていますか?「あなたの今の目標は何ですか?」と問われて答えられますか?それも「誠実に生きる」などのような抽象的なものではなく、より具体的な目標を持って毎日を希望を持って生きていますか?

 加賀氏はさらに「一度決めたからといってそれにこだわり続ける必要はありません。次第に体が衰え、去年できたことができなくなる老年期においては、むしろ、そのときどきの自分の体調や状況に応じてしなやかに目標を変えていったほうがいい」とも書いています。また「大切なのは、自分なりの目標をもち、最後の瞬間までそれに向かって生きようとする姿勢なのだ」とも言っています。

 加賀氏は『マイウェイ――認知症と明るく生きる「わたしの方法」』(太田正博ほか著)という本を読んで、その思いを強くしたそうです。太田正博さんは53歳の時、若年性アルツハイマー型認知症と診断された。日に日に記憶力が低下し、できないことが増えていくなかで、太田さんは絶望に飲み込まれ、うつ病になります。しかし、医師や作業療法士とトリオを組み、「認知症と明るく生きる」というテーマで講演活動を始めたのです。

 太田さんの転機となったのは、あるお年寄りが発した一言でした。「泣いても一日、笑っても一日、おんなじ一日なら笑っとったが、ましやろもん」。病気が進行するなかで、自分のできることを精一杯やり、今を楽しむ。講演活動によって同じ病気で苦しむ人やその家族が勇気づけられ、そのことが太田さん自身の生きるうえでの希望になっているという。

 他者と共に生きることが生きがいとなり希望となる。