正さん日記

世の中思いにつれて

イギリスに待ついばらの道、争点をずらした労働党の敗北

2019-12-15 07:41:15 | 世界

 イギリスの総選挙は保守党の地滑り的勝利に終わり、ジョンソン首相が目指すEU離脱に向け大きく前進した。

 しかし、今回の保守党勝利の裏には、野党労働党のまとまりの無さが大きな要因であり、コービン党首への不信感が根強かったとの見方がある。

 コービン党首は、もともと反EUの立場であり、EU離脱を争点にした今回の選挙でも、再度の国民投票を行うことを公約に掲げ、保守党の離脱に対して、残留と言う明確な違いを示さなかった。

 これに対し、何時まで経っても離脱ができない状況にうんざりしていた国民が、ジョンソン首相の離脱実現へ踏ん切りをつけるために行った総選挙で、保守党を勝たせたものと観測されている。

 現有勢力より40議席も減らせた労働党のコービン党首は、敗北の責任を取り辞任する意向を固めたようだ。

 しかし、1月末に離脱をした後、1年間の移行期間にEUとの2国間の貿易交渉を行わなければならず、EUを袖にしたイギリスにEU側が良い顔をする分けがなく、イギリスは厳しい立場におかれることが予想される。

 EUとしても、ハンガリー、ポーランド、スエーデンなど反EUを明確にしている国や、フランス、イタリア、ドイツなどの主要国でも国内に反EUを掲げる右翼政党が台頭していることもあり、イギリスに好条件を与えることにより、それならば我が国もと、さらにEU離脱を目指す国がでるとEUの分裂に繋がりかねず、そのためには、イギリスに厳しい対応をしてくることは明白だ。

 また、イギリスはEUの他にも各国と貿易交渉を行わなければならず、もちろん、日本とも貿易協定締結を目指すことになる。

 日本の専門家は、これらの交渉は難航が予想されるとした上で、物流の停滞などで日本企業に大きな影響が出る可能性があると指摘している。

 専門家の一人は、「イギリスに進出した日本企業にとっては、もともとサプライチェーンを前提にして、自動車や医療品、医薬品を輸出していたので、このサプライチェーンが分断されると、まともにモノを輸出入できなくなる」と分析している。

 国民投票から3年半たち、イギリスはようやくEUからの離脱に道筋をつけた形だが、乗り越える課題は山積している。「関連:12月14日

 

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