11月24日に行われた香港の区議会選挙で、いわゆる民主派が全体の80%を獲得圧勝した。
この選挙は、6月から長期に亘り香港で繰り広がれている民主化運動に、市民がどれだけ支持しているかを計るバロメーターになるものとして世界中で注目されていた。
区議会議員選挙は、18区で合わせて452議席を争うもので、民主派が385議席、今まで70%を占めていた政府を支持する親中派は59議席に止まり、民主派の大勝利に終わった。
民主派の勝利は、中国へ返還後初めてで、投票率も過去最高の71%を超え、従来の実績を大きく上回り、香港市民の関心の深さを証明した。
ただ、区議会議員の議席数が直接香港政府の行政にインパクトを与えるものではなく、行政府長官の選挙は選挙委員会に所属する1200人によって選ばれる仕組みになっている。
今回、区議選で民主派から117名が選挙委員会のメンバーになれるが、まだまだ少数派で、民主派の最大の要求である市民による行政府長官を選ぶという目的は達成できたとは言えない。
しかし、今回の区議選による民意については、全く無視する分けにはいかず、香港の行政府、中国当局としても対策を講じる必要性に迫られる。
また、アメリカを中心に国際社会も、この結果を注目しており、選挙結果を受けての中国政府の動向を見守っている。
香港問題が中国人民に今回の選挙結果がどのように伝わっているのかは分からないが、中國政府としては警戒感を強めていることは間違いない。
中國政府は、新疆ウイグル自治区問題など民族問題も抱えており、選挙を控えた台湾への影響も気になるところだ。
今回の区議会選挙の結果を受け、林鄭長官は「民意を真摯に受け止める」としたものの、市民らが求める警察の暴力を調査する独立調査委員会の設置や普通選挙の実現などについては改めて「応じない」とした従来の方針を続けると発言した。
このような中で、民主派がさらに行政長官の直接選挙を中心に諸要求を打ち出しデモの継続と過激化を強めてくることが予想され、香港情勢は今回の選挙でさらに厳しくなることも想定される。「関連:9月5日」