4月21日、インド洋に浮かぶ島国スリランカの首都コロンボで、キリスト教の教会や高級ホテルなど8カ所で、イスラム過激派と思われる連続爆破テロが発生、これまでに日本人1人を含む290人が死亡し、500人以上が負傷した。
日本人で亡くなった高橋香さんはコロンボに住んでいて、ホテルで家族と朝食の最中に巻き込まれた。夫と子供も重傷を負った。
スリランカ当局は、これまでに24人を拘束し、国内イスラム過激派による自爆テロとみているが、大規模で組織的に行われていることなどから、外国のテロ組織が関与していたとの見方を強め捜査を進めている。
テロから1日たった22日、コロンボ市内では被害に遭った教会付近に止まっていたワゴン車から爆発物が見つかり、当局が爆破処理した。
また、市内のバス乗り場で57個の起爆装置が見つかり、犯行グループがさらなるテロを計画していた可能性がある。
コロンボ市内では、2日連続で夜間外出禁止令が出されたほか、23日、スリランカ政府は、非常事態を宣言した。
イラク、シリアなどで国際テロ組織(IS)が掃討されたと報道された後、目立った自爆テロがあったとは聞いていないが、そんな矢先にスリランカで自爆テロが起きたことは驚きだ。
スリランカ国民の過半数は仏教徒だが、少数派ながらヒンドゥー教やイスラム教、キリスト教(ほとんどがカトリック)の信者も暮らしている。
CIAワールドファクトブックによれば、全人口に占める割合は12年時点の推計値でヒンドゥー教徒が12.6%、イスラム教徒が9.7%、キリスト教徒が7.4%だ。
これまで、スリランカではシンハラ人仏教徒の間で一種のナショナリズムが広がり、他の宗教、特にイスラム教への弾圧を求める団体が台頭。同時に、イスラム教徒の中にもテロ組織ISIS(自称イスラム国)に参加した者がいると言われている。
ISISは世界各地で教会などを狙った襲撃事件を起こし、多数の犠牲者を出している。ISの反抗であれば、必ず犯行声明が出るはずだ。罪もない一般民衆を死に陥れる集団テロは、断固として許すことはできない。