日銀がマイナス金利政策という奇策を決めた。民間銀行が日銀に預ける当座預金に対し今までは0.1%の利息を払っていたが、これからは逆に0.1%の手数料を取るというものだ。
民間金融機関が日銀に預けてある当座預金は現在約200兆円あるとのことで、-0.1%となると約2000億円が銀行の出費になる。そうなると、銀行は日銀に預けるより企業などへの貸し出しに回した方が得策でもあり、それだけ企業にお金が回われば経済が活性化するという仕組みのようだ。
しかし現状、企業は資金が潤沢なことと、設備投資意欲がそれほどでないこともあり、果たしてお金を借りるかといえばあまり期待できない。
ならば、始めから失敗することは目に見えているはずだが、それを一か八かでやってきたのが今までの黒田東彦日銀総裁のやり方だ。
今までは日銀は、超異次元の金融緩和政策を用い、円安、株高に繋げ自動車など輸出産業の高収益に結び付けるいわゆるアベノミクスの中心を成してきた。
一方、黒田総裁が辞任を掛けてまで公約した2015年中に物価上昇率2%を2016年末まで先延ばしし、さらに2017年前期まで伸ばすというどうしようもない状況になっている。
マイナス金利政策は既に欧州で行われているが、黒田氏は最近までこれを取り入れることは「考えていない」と否定を続けていた。それなのに日銀政策委員会では5対4の僅差でサプライズ的にこの方策に打って出た。
今回の日銀の金融政策は、甘利明前経再生相の辞任を受けて緊急的な施策との指摘もあるが、それよりも黒田総裁には何としても物価上昇率2%にしなければメンツが立たないという一種の焦りがある感じだ。
中国の経済減速、原油安、株安など現下の厳しい経済情勢のなかで、マイナス金利政策を取った日銀の判断の良否については専門家の見方も二分しているようだ。