甘利明経済再生担当相が28日の記者会見で閣僚の辞任を表明し、安倍晋三首相もこれを認めざるを得なかった。
甘利大臣は、いわゆるアベノミクスの「司令塔」とのことなので、それでなくとも怪しくなっている安倍政権の経済運営に与える影響は大きいようだ。
甘利氏の後任は、安倍首相と仲の良い石原伸晃元環境相を当てたが、石原氏は、環境相時代に東北被災地にろくにも行かなかったばかりか、東電福島第1原発事故に伴う汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設をめぐり、「最後は金目でしょ」と発言。福島県議会の抗議を受け、撤回した経緯があり、加えて、経済政策については経験不足を指摘する向きもあり、そんなに安定感はない。
それにしても甘利大臣は意外にあっさり辞任した。来週の衆議院予算委員会を皮切りに甘利大臣を徹底的に追及しようと目論んでいた野党にとってはやや当てが外れたかもしれない。
反面、甘利大臣は、安倍首相にとっては経済の片腕のような存在であったかも知れないが、国会の運営を考えると安倍首相や自民党にとっては辞めてくれてほっとしているかも知れない。
今回の甘利大臣の所業は元々金権体質の自民党を改めて認識させられたようなものだ。業者から金品を貰い、その目的は補償金などが伴う公的機関への口利きと言うのでは、犯罪行為とも言えるもので幾ら秘書の仕業として責任転嫁をしても、到底議員本人が逃げおせるものではない。しかも現職の閣僚ともなれば尚更である。
もちろん、甘利大臣の不正について、閣僚を辞任したからそれでノーサイドにはならない。今後、刑事責任をも視野に入れて徹底的に真相解明をする必要がある。
常々、安倍首相は、経済団体を中心とする企業からの政治献金については、てらいもなく当たり前のように容認しているが、その見返りに法人税の引き下げを始め、企業に対してはとことんサービスをしている。
何のことは無い。ただ政治資金報告書にきちっと記録しておけばセーフ、今回の甘利大臣のように政治資金報告書もれならアウトだけの違いだ。
企業献金などを抑制するために、何百億円の税金を使って政党助成金があるはずだ。今回、またまた政治と金の問題が表面に出た。安倍氏が容認する団体献金を際限なく認めるのなら、政党助成金制度は撤廃するべきだ。
また、安倍首相は、甘利経済再生相の任命責任をあっさり認めているが、では自身、どのような責任をとるのか。口で言うだけならどんなことでも言える。これを称して「口先だけ」と言う。「関連:1月23日」