隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0291.女の四季

2002年11月01日 | 短編集
女の四季
読了日 2002/11/1
著 者 平岩弓枝
出版社 角川書店
形 態 文庫
ページ数 326
発行日 1999/12/20
ISBN 4-04-163007-X

 

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本書は、解説で著者の夫でもある伊東昌輝氏に依れば、昭和34年に「鏨師」で直木賞を受賞した著者の受賞直後の作品5編と、その10年後、著者の円熟期に発表された4篇とから構成されている短編集である。
受賞直後は、まだ左程題材もなく、彼女が大学卒業後アルバイトをしていた美容整形病院での体験から、生まれたのがはじめの3篇で、いずれも石井美巳(よしみ、通称ミミ)という女性医師が探偵役のミステリー仕立ての短編だ。
続く2編もミステリーだが、「オレンジ色の口紅」は前に読んだ「ハサウェイ殺人事件」272.参照)にも収録されていた。同じ作品である。後の4篇は、ミステリーではなく、ホームドラマ的な作品で、著者の子どもが通う幼稚園や学校の仲間たちの、お母さんの話などからヒントを得て生まれた作品のようだ。

 

初出一覧
# タイトル 紙誌名 発行月号
1 美女誕生 週刊明星 昭和34年9月
2 その顔を探せ 週刊明星 昭和34年10月
3 ハッピイ・エンド 週刊明星 昭和34年10月
4 オレンジ色の口紅 面白倶楽部 昭和35年1月
5 美しき殺意 面白倶楽部 昭和34年8月
6 秋の日 別冊小説新潮 昭和45年10月号
7 異母姉妹 オール読物 昭和48年7月号
8 嫁して10年 小説サンデー毎日 昭和47年6月号
9 痩梅紀 別冊小説新潮 昭和49年4月号

 

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1999年11月2日に満60歳となった僕は、70歳までの10年間で、500冊のミステリーを読もうという計画を立てて、今日で丸3年が経過したことになる。
「三日、三月、三年」という言葉があるが、一つの節目を越えたことになるのか。
当初考えていたより、読書はスムースに進んでいる。ある人に依れば、読書は、量ではなく質だという。つまり読んだ冊数ではその人の読書量は決まらなく何を読んだかということに価値があるのだそうだ。ある面では、それは真理だろうが、僕はこだわってはいない。
300冊近く読んでいると、中には面白くなかったり、好みに合わないものも出てくる。若い頃と違って、有り余る時間が有るわけではないので、つまらない本に時間を取られることは出来るだけ避けたい。そこで気に入った作家の本を集中的に読むことになりがちだ、しかし、可能な限り内外の幅広い作品を読みたいという気持ちも一方にはあって、バランスをとるのが難しい。
今まで読んだ中には、若い頃既に読んでいる本も少なくない。それらの本を読んでも、以前読んだときの胸のときめきや、心踊る感じは少ないが、その当時の自分を思い出すこともあって、それはそれで楽しい。
一つには、時代の流れや、環境の変化によっても感じ方は変わってくるだろう。あるいは、解釈のしかたや、理解度の違いも有るかもしれない。それでも、中学生の頃、新しい文庫を手にして開いたときの印刷インキの匂いや、紙の感触は、今でも忘れられない思い出だ。そして読み終わったときの感動、喜び、満足感を味わうために、明日から4年目に入る。

 

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