水産政策審議会資源管理分科会(田中栄次会長)は、8日Web会議で開催され、スケソウ、スルメイカの2022年TAC設定・配分などの諮問を水産庁の原案通り答申した。
スケソウは、1月26日の資源管理説明会を踏まえ、4系群のTACが示された。この中で太平洋は3年固定の17万㌧としたのに対し、日本海北部は単年度見直しの基本ベースを選択し、前年の7,900㌧に対し資源評価が下がり7,400㌧に削減された。
水研機構、水産庁の説明に対し、道機船連理事の本間新吉委員から「日本海の漁業者は資源動向からTACが増えると聞き、単年度を選んだが、実際には削減されて不満の声が出ている。データ量が多いスケソウでもこうした評価が出てくるとすれば、新たな手法を考え、漁業者も協力する形で精度を高めてほしい」との意見が出され、田中分科会長も「毎年資源評価が下方修正されることが続けば、漁業者との信頼関係がなくなる」と改善を指摘。全漁連の三浦秀樹常務も「資源評価の下方修正は重大な問題で、漁業者が質問して初めて説明するようなことでは、MSYを基にした資源評価に漁業者の不信感が危惧される」と事前にていねいな説明を求めた。川越伸二兵庫県機船底曳網漁業協会理事も「資源動向が増加なのに、TACが下がる。これでは場の努力が評価されず、国の方針が信頼できなくなる」と現場の声をよく聞き資源管理の努力につながる目標設定を要望した。
スルメイカTACは、水産庁が秋、冬生まれを一本化し、3年間固定の7万9,200㌧(前年5万7千㌧)を提案。従来の沖底(1万3,300㌧)、大中まき網(3,800㌧)、中型いか釣り(1万4,500㌧)、小型いか釣り(1万8,300㌧)に加え、北海道の定置網に5,600㌧を設定し、国の留保を1万㌧として配分が不足場合には「75%ルール」を適用する。1月6日〜2月4日までのパブコメで154件の意見が寄せられ、単年性で資源変動が激しいイカの特質に沿って毎年見直すべき、定置網に対する柔軟な仕組みが必要といった意見が紹介された。3年間固定でTAC増の提案に理解を示す発言もあったが、「日本海の真ん中は外国漁船が独占し、日本漁船は片隅に追いやられている。日本だけが資源管理をやっても回復しない」と外国漁船対策に強い要望が出された。また、減船を計画している中型いか業界から「4隻減船して41隻体制になる。冷凍イカが供給できなくなる事態にどう対応するのか」という声が上がり、水産庁は様々な対策を通じて経営安定に努める意向を示した。さらに全日海からは船主だけでなく、乗組員の雇用、失職の補償対策を検討するよう要求が出された。
スケソウおよびスルメイカTACの設置・配分は条件付きながら原案通り諮問答申することを承認した。