降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★主人公は元整理部長である①

2014年02月10日 | 新聞/小説


1981年の第27回江戸川乱歩賞受賞作。
僕は、同受賞作は単行本刊行と同時にほとんど読んでいるから、この小説も読んでいたはずなのだが、再読しても「やっぱり面白い!」。

長井彬さん( 2002年死去、享年77 )の『原子炉の蟹』=写真
フクシマ問題で急きょ新装版なのだろうけど、よくぞ出してくれましたねっ!講談社文庫さすがですね!なのだ。

ストーリーはミステリーなので、ムニャムニャでムニャムニャになるので飛ばすけど、
同作の「探偵」というか主人公・曾我の設定がユニーク。
皇居に近い、8階建てビルの「中央新聞」東京本社(←だはははははは)の、ほとんど何も書かない編集委員。
曾我編集委員は、整理部長職をムニャムニャで解かれ、数カ月前編集委員に就任したばかり。

ある日、欠伸をしていた曾我元整理部長(→以下、編集委員だけど分かりやすく元整理部長と表記します)のもとに、千葉支局の原田記者から電話がかかってきたところから始まる。

関東電力・九十九里浜原子力発電所で下請けをやっている房総電業の高瀬社長が謎の失踪、と聞き、曾我元整理部長は千葉支局に出向いた(以下、引用します)
「少し離れてはいるが、曾我のあごの先には支局長の久保山の大きな図体があって、隣席の次長に何かしゃべりながら、作ったような高笑いをしていた。
豪放を装っているのだが、その細い目は神経質に曾我の方をちらちらうかがっている。
曾我が、原田に話があると訪ねた時から、本社の風来坊が何か扇動にきたのではないか、と気にしているのは明らかであった。
『大将は勲章が好きですからね』
と原田は小声でささやく。
『反主流のおれが来て、迷惑だったかな?』
『いいですよ』
『ま、気をつけろよ。あいつは昔から他人の手柄は横取りし、自分の失敗は他人に押しつけてきた男だから』
『知ってますよ、そのぐらいは』
と原田は笑った。」


…………長くなったし、
昭和の新聞社編集局・整理部ことなどが書かれていて、ある意味アーカイブなので……………続く。



o(^_-)O