降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(62)

2014年01月13日 | 新聞

【 1月11日付の続きです。
写真は、本文と直接関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第62回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 32。

(「活版時代の幕を閉じた」のわりにはずっとCTSのことを書いているよなぁ、と指摘されました。
あらら、そういえばそうですねぇ~そのうち軌道修正しますので、ということで。笑)

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

▼ 「お詫び」掲載覚悟で、ゲラを貼った貼った貼った────

1990年代初頭の、ある夜21:45。
試運転中ながらCTSシステムダウンという非常事態。
地方版の一部を急きょ印画紙出力→スキャナー送信で降版することに切り替え、「大貼り」作業で獅子てんやわんや(古!)になった整理部&製作局。
未校記事の赤字処理は、高精細363ゲラを切り抜いて大組み印画紙に貼ることにした。
確かに、紙面は多少汚く印刷されるかもしれないけど、印刷不能よりはまぁいーじゃん仕方ないじゃん、なのである(翌日「一部地域で紙面の印刷に汚れがありました。お詫びします」とケイ囲みで出しました)。

▼ 363ゲラの裏に両面テープを貼ってカッターで切り抜いた。なんというアナログ作業(笑)────────

①校閲さんの赤字を校正ターミナル【注・下段】で訂正し、再校363ゲラをプリンターから出す。
②大刷り印画紙は一部未校状態だから、赤字がある文字・行(ぎょう)に363ゲラを切り抜いて貼る。
③363ゲラの裏に、両面テープを貼って【注・下段】赤字部分をカッターで切り抜き、印画紙に張り込む。
────ちまちま作業なのだけど、切り貼りは僕はけっこう得意なので、
「こうやるのだ!」陣頭指揮をとっちゃいました(笑)。

製作局スタッフは慣れていないため恐々切り抜いていたけど、整理のぼくは胸ポケットに赤ボールペンとカッターを常時さしていたので、手際がいいのだ( ↑ でも、考えてみると、いつもカッターを胸ポケットにさしている人は、ちょっと危ない男だなぁ)。
────────長くなったので、続く。

【校正ターミナル=こうせいたーみなる】
1980~90年代の初期CTSでは、大組みをするL(LDT)端末と、文字訂正を行う校正(K)端末に分かれていた(CTS先行社ではLDTで文字訂正も出来ていたが )。
当時、校正ターミナルには活版の文選の人がいて作業をしていたよーな記憶がある。

【両面テープを貼って=りょうめんてーぷをはって】
前にも書いたとおり、僕の社では1990年代初頭の一時期、活版組み版とCTS組み版を同時進行していたので、大刷り(清刷り)にカットや写真を張り込む作業をしていた。
やや斜めに傾斜した大貼り台に、両面テープやカッター、修正液などを設置していた。
さらに、接着性ロウを溶かす機械もあって、ゲラを滑らせると裏に接着剤が付いて大刷り印画紙に貼り込む作業台もあった。
(↑会社っていうのは、設備や機械には簡単にお金を出すものだなぁ、と知った。あの機械もらっておけばよかったなぁ、笑)



(=゜ω゜)ノ