降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新聞を鉛活字&活版で組んでいた頃(63)

2014年01月15日 | 新聞

【 12月30日付、1月13日付の続きです。
写真は、本文と関係ありません 】

ついつい最近まで、新聞は鉛活字・活版で組んでいたのだよ────後世に書き遺しておこうかな、の第63回。

番外編「CTS始動・前夜編」として
「1990年代初頭、とある新聞社の製作局はこうして活版時代の幕を閉じた」
について、僕自身が忘れないうちに書いておきます、の Part 33。

(「活版時代の幕を閉じた」のわりにはずっとCTSのことを書いているよなぁ、と指摘されました。
あらら、そういえばそうですねぇ~そのうち軌道修正しますので、ということで。笑)

【 CTS=Computerized Type-setting System( 新聞コンピューター組み版・編集 )。
1960~80年代、朝日新聞社、日本経済新聞社、日本IBMが主導・開発した。
日経東京本社は1978年にアネックスシステムを、朝日東京本社は1980年にネルソンシステムをそれぞれ全面稼動した。
その時つくられたソフトの一部は、パソコンの文字訂正などに転用されている

▼ 温厚な、仏の整理Nさんも怒声をあげた────

1990年代初頭、とある夜21:50過ぎ。
途中まで組んでいた地方版の一部が、試運転中CTSのシステムダウンで出力不能になり、
慌てた僕たち整理部&製作局は非常事態宣言。
急きょ、印画紙出力→見出しなど手貼り→スキャナー送信に切り替えて降版することになった。

CTS開発室からの出力指示で、次々でてくる未校記事のある大組み印画紙。
庶務さん(←以前書きました、アルバイト学生くんたちのことです)は製作局と編集局を走り回り、
校閲さんは小ゲラ照合、
整理部は手貼り処理で、騒然とする製作局。
ふだんは大声なんか出さない地方版整理部の、仏の(笑)Nさんが
「おい、普通は『以外』を真っ先に直すだろっ。なんで『、』打ちなんだよ!」
と、大貼り台で校閲面担(紙面担当者)に言っている。

▼ のんびり型校閲さんに、オー・マイ・ガッ────────

「徳田マネーが猪瀬陣営意外に流れたと見て................」
例えば、上記の記事の場合。
整理部面担も素読み【注・下段】するから気づくのだが、
仕事確実型A校閲さんなら、真っ先に「意外→以外」を赤字直しするのだけど、
のんびり型B校閲さんだと、この期におよんで( ←降版間際という意味ですね)
「えーとぉ、徳田マネーが『、』( チョン)にしてくださーい」

ムッ、製作局、整理部ともに怒ッカーン。
致命的誤字「意外」を、まず直せ!
ワッペン処理【注・下段】で、どうやって「、」を入れるんだよ!
................長くなったので、続く。

【 素読み=すよみ 】
大刷りゲラの記事を( 小ゲラ照合せずに )赤鉛筆をスッスッと走らせて読むこと。
別に、赤鉛筆じゃなくてもいーのだけど(笑)。

【ワッペン処理=わっぺんしょり】
大組み印画紙に、カットや地紋などを手貼りしていたパートCTS時代に行われた作業。
上記の場合だと、赤字処理が反映したゲラから「以外」2文字を切り抜き、
大組み印画紙の「意外」の上に貼り込んだので、こう呼んだ(と聞いた)。



(・ω・)ノ