絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

美術の必要性3

2009-09-20 | 美術
私は美術の授業で、導入の時間を使って、画家の生き方をよく話した。

特に、回数が多かったのが、ゴッホである。
ゴッホの人生は、衝撃的だから、インパクトも強い。
精神的発作による、37歳でのピストル自殺も、強烈な印象である。

生涯に売れた絵は、たったの1点。世間が認めないのに、自分の信じる絵を描き続けた。それをみんなはどう考えるか?と生徒に問いかけた。

誰も認めてくれなくても、自分の信じる道を貫いていけるだろうか?

私はその後、その生き方をマラソンの有森選手の話とダブらせた。

「だれも褒めてくれなくてもいい、自分で自分を褒められる生き方をしたい」

今、オルセー美術館に行くと、ゴッホの作品がまとめて展示されている部屋がある。その部屋は、人々でごった返している。ゴッホが見たらなんていうだろう。
私は、それを見て、涙が出た。ゴッホはこんなことは考えもしなかっただろうなあと思った。

ゴッホは、寂しかっただろう。気の毒でならない。
絵は認められない。恋愛は上手くいかない。生活は苦しい。弟にお金を送ってもらって生活していた。精神的な病気にかかる。
そんななかで、自分の信じる絵を描いた。10年間で800点も。

絵を描いたのは、27歳から37歳の10年間だけ。病気で入院していた時期を考えたりすると、驚異的な枚数である。

唯一、仲間として尊敬していたゴーギャンとも、喧嘩別れになってしまった。
認めてくれる人が出て来たが、自分の絵を間違って受け止めているから、褒められても嬉しくないと言ったという話もある。

ーーーーーーー

エドケーション スルー アートという言葉がある。
その本来の意味は、私は知らないが、美術を通して学ぶことと考えると、この画家の生き方というのは、美術の教科として扱う重要なものではないかと考える。

私は、この話をした後、「さあ、みんな、今日はゴッホに負けないように、頑張ろう」などと話して絵を描かせたものである。


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