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絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

Aさんの指導を振り返って 3

2012-11-17 | 通信指導
絵画教室などでは、先生が組んでくれたモデルをみんなで囲んで描いているということが一般的です。
それを、描いて仕上げた物を展覧会に出すということが行われています。
それは、展覧会では損ですね。

やはり、自分だけのモデルを組んで、一番良い位置から良い光を当てて描くようにしないと、なかなか良い絵になりません。

モデル組みが一番重要です。ここまでで、良い絵になるかどうかがほとんど決まります。
今回のモデルはこれでした。



しかし、いくら良いモデルでも、似ても似つかないような絵になっては、ダメです。
ここからは、デッサン力の問題になります。
そのために、トイレットペーパーから基本デッサンをやったのです。

まず、鉛筆で形をとり、その後で、グレー調の色で鉛筆の上をなぞります。
それから、描いていきます。
写真を見て30号に拡大する時には、縦横に線を入れて、何丁目何番地という感じで点を写し取る方法を使いました。
そうすると、正確に拡大することができます。



最初は、青と白黒を使って、モノクロ調に進めます。
その方法なら、デッサンと同じです。



ラベンダー、ウルトラマリンなどを使って、明暗の差で描いて行きます。



最初はこんな風に進めました。

全くの初心者なので、初めの切っ掛けは私がやってみせました。
ほんの一部、塗ってやり方を説明すると後は自分でやるという方法です。
だから、99.9パーセント自分でやります。

このモノクロ調の方法なら、初心者でもやれます。

つづく


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Aさんの指導を振り返って 2

2012-11-17 | 通信指導
夏休みの内に、どんな絵を描くか相談しました。

私が初心者には、どんな絵を描かせたらいいかと考えて、いくつかデッサン会の人たちが描いた実践例を紹介しました。
廃棄物を描いたものや物置のような所を描いた物などの絵を見せた所、「こんな場所なら家にもあります」と言ったので、
物置を見せてもらいました。

物置と言っても、結構きれいな倉庫のような感じの所で、私の予想とは違いました。
古ぼけた木造で、埃の積もったような感じをイメージしていたので、全く違う近代的な物置きでした。
そして、使わなくなったものというより、いろいろなものが置いてあるという意味の物置でした。

私は当たり前の静物画より、こうした普段の生活の中の一場面という場所を選ぶ方が、自然で良いと考えるので、
ここにあるものでやってみましょうということにしました。

なぜ、静物画を選んだかというと、まだ静物デッサンしかしていないからです。
風景や人物などは、とても県展などでは戦えそうもありません。

舞台は、物置の一部に目を付けました。
ただ、静物画の基本として、何か主役を設定する必要があります。
丁度上手い具合に、バレーボールがあったので、それをメインにやってみますかということにしました。
そして、いろいろ周りの物を組んでみました。

周りの物は、バレーボールより目立つ物ではいけません。バレーボールも主役にするには、表面にある文字が大切です。
その文字の向きも重要です。いろいろやって、なんとかモデルが組めました。
しかし、どうも主役が丸過ぎてど真ん中なので「日の丸みたいに見えますね」と言いました。

それで、何か運動靴みたいなものはありませんかと尋ねると、丁度体育で使ったような運動靴が出て来ました。
それで、これをバレーボールの代わりに置いてみましょうということでやってみました。
すると、バレーボールよりいい感じがしました。そのため取り替えました。しかし、バレーボールも脇役ならいいかもしれないと思い、上の方に置いてみました。画面の中に丸い物があるのも面白いと思ったのです。ただ、良い位置に収めるのに苦労しました。下に何かあんこになるものを置いたりして持ち上げました。

また、何か画面に動きを持たせたいので、縄とかロープのような物がありませんかと訊き、ビニールの紐とか考えましたが、
丁度縄跳びの縄があったので、それがいいと思い組み合せました。
そうか、良く考えると、靴とボールと縄とびの縄なら、スポーツグッズで統一できますねと喜びました。

また、紐の形がわざとらしくならないように、どういう流れにすると良い感じがするかなどいろいろ研究しました。

私と本人とお母さんの三人の共同作業でした。

私は、いろいろやりながら、ときどき「どう?」と本人に尋ねます。
本人が良いと言えばそれを尊重します。そういうやり方で進めて行きました。

ーーーーーーーーーー
実は、この部分が一番大切なのです。

絵になるとかならないとかは、この構図で決まります。
そのことを知っているかどうかが重要なのです。
多くの人は、その部分を軽視していると思います。時間をかけません。

尤もそれが、わかるかどうかが画家の力量とも言えます。
私はダメを知っているので、正解もたくさんありますが、ダメなものにダメ出しをします。

デッサン会の人たちは、それを写真でやってきます。だから、100枚も写真を撮ったという人さえいました。
ほとんどダメばかりです。しかし、何度もやりなおしていると、段々正解に近い物を持ってくるようになります。
そして、これならという物になるまでやりなおしをさせます。だから変な絵がないのです。

今回の場合は、私が一緒にやったので、一日で組めましたが、ここの部分で苦労させないと、本当の力になりません。

ーーーーーーーーーー
出来上がったものは、もし写真の通りに描けるなら、それだけで入選する所までいけるだろうというものでした。

8月の終わりごろだったかなと思いますが、絵が始まりました。

つづく









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Aさんの指導を振り返って 1

2012-11-17 | 通信指導
Aさんの指導を振り返ってみます。

知り合ったのは、今年の3月。NPOの話でお父さんに用事があって家を訪ねました。
そこで、娘が大学の美術史学科に合格したけれど、絵を描いたことがないので、勉強したいと言っています。教えていただけますか?と言われました。
美術史学科だから、実技はほとんど関係ないけれど、少しは描けないといけないだろうと思って、基本的なデッサンだけでもやっておかなければと思いますということでした。

全くの初心者ということなので、それでは、デッサン会をやっているから、参加してみてください。と言って、始まりました。

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まだ、大学が始まらないので、3月はデッサン会に参加できるということでした。
そして、木曜日の4回、参加して人物クロッキーと石膏デッサンをやりました。

また基本的なことをやるなら、トイレットペーパーのデッサンからみんなやらせていますから、同じことをやってみますか?と言って、それも始めました。

大学が始まると、デッサン会にでられないので、基本は通信指導でやりましょうとなりました。

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トイレットペーパー、ビン、本、布、と、これまで他の通信指導の人がやったことと同じことをやっていきました。それは、このブログでご紹介した通りです。さかのぼってご覧ください。

ーーーーーーーー
8月になって、夏休みなので、またデッサン会に参加できる時期がきました。
その頃、もうかなりデッサンをやったので、秋の展覧会に向けて一枚くらい絵を描いてみましょうか?と勧めました。

それが、この30号です。

ーーーーーーーーー
私は、6号とか8号とかの小さい絵の練習はさせません。
いきなり大きい絵を描かせます。うまく行けば展覧会に出品できるからです。
また、小さい絵では、ただ一つのものを描く練習にしかならないですが、大きい絵なら構成も学べますし、たくさんの物を描くので、たくさん勉強することになります。

大学が、群馬県立女子大学なので、30号なら群馬県展に出品することもできると考えました。それは、うまくいけばという意味で考えました。もしあまりうまくいかなければ、麓原展もあるからとも考えました。

つづく






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