Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「静かなるドン(上)」ショーロホフ著(樹下節・江川卓訳)平凡社

2007-03-11 | 外国の作家
「静かなるドン(上)(世界名作全集第26巻)」ショーロホフ著(樹下節・江川卓訳)平凡社を読みました。
舞台はロシア、ドン河流域のコッサク。主人公は激情にかられやすい青年グリーゴリイ。
彼は隣家の人妻アクシーニヤと不倫。グリゴーリイの父は彼の不品行を封じるため同じの娘ナターリヤを彼の嫁に迎えます。
しかしグリゴーリイはアクシーニヤとかけおちしてしまい、隣村の大地主の家に雇われ同棲を始めます。
まもなくグリゴーリイは兵役にとられ第一次世界大戦勃発とともに西部戦線へ。
軍隊内には従来の帝政派と革命志向の人民派との分裂がすすんでいますが、殺人・暴行を目の当たりにしグリゴーリイはどちらの側にも疑念が膨らんでいきます。
やがて戦争は終結、グリゴーリイは帰還。しかし戦争中にアクシーニヤは雇い主の若主人と姦通。グリゴーリイはふたりをぶちのめした後、妻ナターリヤの元に戻る・・・ここまでが上巻のあらすじ。

主人公グリゴーリイとアクシーニヤの恋愛や、グリゴーリイの家族のメレホフ家の様子、ドン河流域の自然の美しさなどロシアの人間を感じる空気がいっぱい。
一方、第一次世界大戦の戦闘のすさまじさやロシア革命、国内の内戦などその時代の描写には迫力があります。
図書館で借りたので翻訳が古いのが難点でしたが(なぜか婚礼でそうめんとか食べてる・・・原文ではパスタなのかな?なんだろう)面白かったです。
上巻だけでも890ページという長大な作品(以下中・下巻とつづく)なのですが、会話が多いせいか意外とテンポよく読めます。

でもなんと!上巻の巻末の解説にすべてのあらすじが書かれてしまっているおせっかいぶりには腹がたちました。
くやしいけどラストがわかってしまったのでもう続きを読むのはやめました。
あらすじをつけるなら下巻巻末にしてほしいです。がっかり(怒)。