Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

映画「カポーティ」

2007-03-22 | エッセイ・実用書・その他
DVD映画「カポーティ」を見ました。
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンがオスカーをとったことでも有名。
作家トルーマン・カポーティがカンザスでの一家惨殺事件に興味を持ち、服役中の犯人に取材を試み、「冷血」として小説に書き上げるまでを描いています。

フィリップ・シーモア・ホフマンの演技力、すごい。
カポーティの写真と見比べても「のりうつった?」というくらいのそっくりぶり。
高めの声と独特のしゃべり方。ソファーにお姉さんすわりしたり、ゲイだったカポーティの女性らしさもよく表現されているなーと思いました。
死刑囚に共感し、作品を書き上げる。
すこしさじ加減を変えればいくらでも「感動ドラマ」になりそうですが、そこを外して淡々と描かれている自伝映画。

「私は彼に死んで欲しくない」
「結末がわからないと小説が書けない。控訴が棄却されてほしい」
カポーティの矛盾した感情。

脇を固める俳優たちも名演技なので、映画が本当に事実にのっとったものなのだと感じられます。特に犯人役のスミスが話の中核に触れられると目を細かくパチパチさせるところなんてとてもリアル。

カポーティは小説「冷血」の中で「私は犯人が処刑されればすべては終わるのだと思っていた。しかし彼が処刑されても私の心にはやりきれない想いが残ったままだった」という意味の言葉を書いています。
私自身も映画の処刑の場面を見て、カポーティの「やりきれない想い」に共感・・・。