「アメリカの鱒釣り」ブローティガン著(藤本和子訳)新潮社を読みました。
2005年の文庫化にあたって訳者の藤本さんの文庫あとがきと柴田元幸さんの解説が追加されています。
47の短い、アメリカの鱒釣りをめぐる物語。
軽やかなことばづかいで新しい翻訳として話題になった作品でもあります。
マヨネーズで終わる作品を書きたい、など全体にユーモラスで自由な文章。
そしてどこかかげりを感じるアメリカの空気。
印象的だったのは「<アメリカの鱒釣りホテル> 208号室」。
ろくでなしの売春斡旋屋につかまった黒人の女性、そして彼女を身請けしたアート。彼らは売春斡旋屋が腹いせに彼女の名前でつけで購入した多額の商品の返済を今もつづけています。208という名前の猫。
せつないような気持ちがふっと最後に感じられます。
訳者解説で藤田さんがブローティガンを「現実を表現するために幻想という迂回を通った」と表現していますが、納得。
夢見る幻想のようなふわふわとした空気、あるいは純文学的な重厚な空気はないのですが、この作品にはなんともいえない悲しみが感じられました。
2005年の文庫化にあたって訳者の藤本さんの文庫あとがきと柴田元幸さんの解説が追加されています。
47の短い、アメリカの鱒釣りをめぐる物語。
軽やかなことばづかいで新しい翻訳として話題になった作品でもあります。
マヨネーズで終わる作品を書きたい、など全体にユーモラスで自由な文章。
そしてどこかかげりを感じるアメリカの空気。
印象的だったのは「<アメリカの鱒釣りホテル> 208号室」。
ろくでなしの売春斡旋屋につかまった黒人の女性、そして彼女を身請けしたアート。彼らは売春斡旋屋が腹いせに彼女の名前でつけで購入した多額の商品の返済を今もつづけています。208という名前の猫。
せつないような気持ちがふっと最後に感じられます。
訳者解説で藤田さんがブローティガンを「現実を表現するために幻想という迂回を通った」と表現していますが、納得。
夢見る幻想のようなふわふわとした空気、あるいは純文学的な重厚な空気はないのですが、この作品にはなんともいえない悲しみが感じられました。