Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」サリンジャー著(村上春樹訳)白水社

2006-05-08 | 村上春樹
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」サリンジャー著(村上春樹訳)白水社を再読しました。
1951年発行『ライ麦畑でつかまえて』の村上春樹さんの再訳版です。
村上さんが同作品について語った、柴田元幸さんと共著「サリンジャー戦記」も必読。
読んでいて、ホールデンがたえまなくこちらに語りかけてくる様子、あまりの雄弁さに、逆にこちらに隠したいものがある、ホールデンは大切なものは何も語っていないような気持ちになりました。
語り手ホールデンの見ている世界を、私が見たらずいぶん違った解釈になるだろうなあと思いました。ホールデンはうそといわないまでも、ずいぶん過大・過小評価が多いように思ったからです。
でも、読んでいて「めんどくさい」「うそばっかり」「ほっといて」・・・
私の学生時代のもやあ~としたイライラ感がよみがえってくるようでした。
舞台はNYだし、時代も違うし主人公は男の子、それでもこんなにシンパシーを感じるなんて、やっぱり「ライ麦」ってすごい。


「日本文学ふいんき語り」麻野一哉・飯田和敏・米光一成著(双葉社)

2006-05-08 | 児童書・ヤングアダルト
「日本文学ふいんき語り」麻野一哉・飯田和敏・米光一成 著(双葉社)を読みました。
ゲームクリエーター3人の座談会をまとめたもの。
日本文学をゲーム化(具体的にはゲームソフトだけでなく、テーマパークやデコトラなどいろいろ)すべく語り合います。内容は以下のとおり。
文豪の部
『こころ』(夏目漱石)
『羅生門』ほか(芥川龍之介)
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)
『痴人の愛』(谷崎潤一郎)
『人間椅子』(江戸川乱歩)
『山椒魚』(井伏鱒二)
『人間失格』(太宰治)
『金閣寺』(三島由紀夫)
ベストセラーの部
『世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一)
『電車男』(中野独人)
『アフターダーク』(村上春樹)
『半島を出よ』(村上龍)

『人間失格』はダメ人間ブログ、三島由紀夫はたまごっちならぬ三島っちなど、発想の面白さが笑えます。
ちゃかす内容が多いので、その作家・作品に心酔している人にはちょっと腹の立つ本かも・・・。でも、作品を「お文学」として神棚にあげず、読んで感じて考えて楽しもう!という3人には共感を覚えます。
これから私がとりあげてみてほしいのはカフカの「城」かな。
不条理で面白いゲームになりそう。