Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「バレンタイン」柴田元幸著(新書館)

2006-05-30 | 柴田元幸
「バレンタイン」柴田元幸著(新書館)を読みました。
柴田元幸さん初の短篇小説集です!!(大興奮)
5/27に青山ブックセンター本店で行われた、藤田和子さんと柴田さんのトークショーの際の先行発売されていたものを購入しました。


(ここからネタバレあります。)


題名をみて「スウィートな恋の話?でも柴田さんだもん、そんなに単純じゃないよね」と予想し、でもその予想を上回る、奇妙で面白くて不思議な話が集められていました。
本の帯に「エッセイがいつのまにか小説になってしまった」と書かれていますが、短編集の主人公は限りなく柴田さんに近い「僕」(あるいは君)。
柴田さんのいつもの楽しい語り口に、単純に「あはは」と笑って読み進むうちに、僕が出刃包丁に刺されたり、ダンプにひかれたり、ゲートボールのクラブで殴られたり、最後にひやっとする終わり方がする短篇が多いです。
不思議と主人公がかわいそうという感じはないんですけど・・・(それもひどいか)ぶつっと太いもので切られるような独特の読後感があります。
一番すきなのは「妻を直す」。
実は壊れているのは自分なのかもしれませんが、ロバ、いいですよね。
散歩させたい。
最後の作品「ホワイトデー」は心にぐーーーときました。
「失ってみて初めてわかる幸せ」と私がまとめてしまうと陳腐ですが、作品を読むとしみじみそのことが実感されました。

今は読んだばかりで興奮しているので、また日をおいてゆっくり再読してみたいです。