号泣会見で不本意な世界デビュー、野々村議員に芸人たちから「笑いのお手本」「教材にしたい」との声

 号泣会見で話題となっている兵庫県議会議員の野々村竜太郎氏(47)。1年間で城崎温泉などに195回の日帰り出張をしたとして、昨年度の「政務活動費」から約300万の交通費を支出をしていたが、報告書に領収書の添付がなかったために不正使用疑惑が持ち上がった。それだけなら「よくある不祥事」で終わっていたのだが、騒動の本題そっちのけで支離滅裂な大泣き釈明会見が話題となり、一躍全国区の時の人となってしまった。

 海外ニュースでも取り上げられ、イギリスのタイムズ紙(電子版)は「温泉スキャンダルでフルスロットルの謝罪」と報道。フランスのAFP通信は「日本人政治家が泣く映像がインターネットで大うけ」と報じ、米メディアでは「メルトダウン会見」との言葉まで使われた。

 多くの人々を笑わせ、そして呆れさせた号泣会見。「笑いのプロ」である芸人たちも大きな関心を寄せている。

 ナインティナインの岡村隆史は4日深夜に放送されたラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で「何度でも笑えた」と絶賛。野々村氏が会見前に「平常心を持って質問してほしい」と報道陣に要請しながら自分が取り乱したことに触れて「自分が言っておいてポロポロ泣き出す。“振って落とす”やり方はNSC(吉本総合芸能学院)の教材にしたいくらい」とツッコミ。さらには「テレビを面白くする素材が現れた。救世主といっても過言ではない」「議員がダメになっても『サンデージャポン』(TBS系)とかに呼ばれてテレビに出ていける素材」とまで言い切った。

 同じ吉本所属の小藪千豊も自身のTwitterで「ここ連日、人生で一番YouTubeみてるわ みんなもそうちゃうかな おもろすぎ 記者会見の全部の尺のものってないんかな」と発言。陣内智則も同じくTwitterで「ニュースで観る度、笑ってまう。。同じ兵庫県民としてお恥ずかしいです!が…笑ってまう。。あかん!笑てまう。。」とツイートしている。

 おぎやはぎも、4日深夜に放送されたラジオ番組で会見動画にハマっていることを明かし、矢作兼は「ズルいよ。こんなの!」と芸人として嫉妬。小木博明も「ズルいよね。この人、ほんとに。これ売れるぞ~」と野々村議員のブレイクぶりをねたんでいた。

 また、劇団ひとりは「号泣会見を見ながら、いいともが続いてたらなぁ…間違いなく特大号のモノマネにしてたろうなぁ…と私」とTwitterでネタにしそこねたことを悔しがった。実際にネタにした芸人もおり、野々村議員に似ていると話題になったアンガールズの田中卓志は、3日に出演した昼番組『バイキング』(フジテレビ系)で「わたしは~! いってませんよぅ! うぁぁぁ! 皆さんのぉ~、命がけで~アアーッ」とモノマネを披露し、笑いを誘っている。

 X-GUNの西尾季隆はTwitterで「あの号泣した兵庫県議員さん。あそこまで実直に逆ギレ出来るなんてすごいね!しまいには『あなたにはわからないでしょう』的な事を記者さんに言う感じ。あんなの普通の大人じゃ恐くて出来ないよ。すごい。で(最後は)『取り乱してすみません』やろ。ダチョウ倶楽部さんのネタやで。すごい」と、無意識的に笑いのツボを押さえていた野々村議員の会見をプロ目線で分析した。

 伝統芸能の世界からも同じような声が上がっている。落語家の桂春蝶は2日に更新した自身のブログで「これは舞台に出てる人のみ共有できる感覚なのかもしれませんが。これぞ『笑い』です。笑いのお手本はここにあります」と賞賛。続けて「この狂気を演じてできるなら最高の芸人です。嫉妬しちゃいます。こんな風になりたい。でもここまで演るのは無理やと思います。なれど、この域は憧れる。皆さん、この芸人心理を分かっていただけますか?」とまで綴っており、芸人が目指すべき“狂気”を会見から感じ取ったようだ。

 野々村氏が芸人であれば、まさに「究極の笑い」として称えることができたのかもしれない。だが、残念ながら彼は兵庫県の県政を担っているれっきとした地方議員。いくら笑いを褒められたところで県民にしてみれば「恥」でしかなく、その醜態は海を越えて世界に拡散されてしまっている。もし彼に笑いの才能があるのなら、早めにタレントに転職して杉村太蔵の対抗馬として『サンジャポ』あたりに出演したほうが良さそうだ