深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2022年秋アニメの感想と評価 2

2022-12-29 10:57:25 | 趣味人的レビュー

2022年秋アニメは、私は1本の再放送を含む20本のアニメを見た。そのうち全5話の『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』と、途中で切った4本については既に「1」にアップしたので、今回は年末までに完結した作品について感想と評価を。

ちなみにアニメの何をどう評価するかは各人さまざまだと思うが、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はAからEの5段階。

『コードギアス 叛逆のルルーシュR2』再放送

放送されたのは15年前の作品で、もう何度も見ているのに、「やっぱり面白いなー」としみじみ思う。練り上げられた物語の面白さ、キャラが立った登場人物という点で、間違いなく今期ダントツの1位。名作は色あせないとはいうものの、これでいいのか?
評価するのもおこがましいが、Aという以外ないだろう。

『後宮の烏』

古代中国を模した世界観の中で、後宮の奥深くに住まい不思議な術を使う、烏妃(うひ)と呼ばれる柳寿雪(りゅう じゅせつ)と、時の皇帝、夏高峻(か こうしゅん)を中心に、朝廷内部に渦巻く権力闘争や国家存立にまつわる謎、そして王宮で起こる不可思議な出来事を描く。謎解きミステリのような体裁を取りつつも、人の情念に根ざした、より霊的なものが出来事の中心にあるので、どちらかと言えば若干ホラー・テイストをまぶした人間ドラマ作品と言える。
「後宮の奥深くに烏妃と呼ばれる妃が住んでいる。妃でありながら夜伽(よとぎ)をすることのない特別な妃、それが烏妃だった。…」という井上喜久子のナレーションが毎話流れる。この手のナレーションは一度録ったものを使い回すのが常だが、『後宮の烏』ではナレーションの内容が話によって若干変わることもあって、その都度録り直しているようだが、話が進むにつれてその語りが徐々に柔らかく、やさしくなっていくのが、とてもいいと思った。
物語は3話くらいで1つのエピソードが語られる。描かれるエピソードは、いずれもその裏に人々の情念や怨念が満ちているが、サクサクと進む展開のために、おどろおどろしさはあまり感じない(キャラクタの顔がみな似通っているせいで、感情移入しづらいのもあるかもしれない)。だが主要な登場人物はそれぞれの背景がちゃんと描かれていて、サクサク進む割には物語にそれなりの重厚さが感じられる。惜しむらくは、アニメーションが淡泊で、そのために物語の重厚さが相殺されてしまった感があること。
ネットなどを見てもこの作品について触れたたものがほとんどないが、物語の面白さでは今期でも3本の指に入るだろう。なので評価はB-~B。

『忍の一時』

オリジナル・アニメ。タイトルは「忍の一字」のもじりかと思ったら、「いちじ」じゃなく「いっとき」で、主人公の名前だった。
舞台はほぼ現代の日本だが、そこはかつて存在した忍たちが流派ごとにテリトリーを定め、互いに力の均衡を保ちながら、社会に溶け込んで生き続けている。だが、あることをキッカケに伊賀と甲賀の間にきな臭さが漂い出し、高校1年だが伊賀忍者の次期頭首となった主人公、櫻庭一時もその渦中に投げ出されることに…。
伊賀vs甲賀というと、山田風太郎の『甲賀忍法帖』を原作にしたアニメ『バジリスク』があるが、『バジリスク』では忍者=人を超えた異形の者たち、だったのに対して、『忍の一時』では忍者(の末裔)たちは各地の「道の駅」を管理していたり、使う装備=忍装にはナノマテリアルなどが使われていたり、という具合に現代的なものになっている。
高校1年まで忍者の「に」の字も知らずに生きて来た一時は、ある日突然、命を狙われ、それが甲賀による襲撃であったこと、そして自分の家が伊賀忍者の当主の家柄だったことを知らされる。そして彼は一人前の忍者になるべく「忍術学園」に入学し、そこで各地から集まった若い忍者の卵たちと切磋琢磨する毎日を送ることになる…。
と、そんな展開に、TOROYCA制作のアニメにしては話が妙にヌルいな、と思っていたら、いきなり事態は風雲急を告げ…。前半は「忍者テイストの青春学園ものかぁ?」という感じだが、後半にはちゃんと話が盛り上がる。
メチャクチャ面白いわけではないものの、尻上がりに面白さが増していき、そのまましっかりまとまって終わったところを評価して、C~C+。

『チェンソーマン』1期?

悪魔が普通に存在し、人間の社会活動の障害になっている世界。主人公のデンジはチェンソーの悪魔、ポチタとともにヤクザのパシリのような仕事でなけなしのカネを稼いでいるような存在だったが、そのヤクザに裏切られて瀕死の重傷を負った時、ポチタと融合してチェンソーマンとして復活。そして警視庁公安のマキマに拾われ、マキマの下で悪魔を掃討するデビルハンターして働くこととなる。
制作がMAPPAだけあって、アニメーションのクオリティはハンパない。残酷なシーンは容赦ないくらい残酷だし、カッコいいシーンはもうめっちゃカッコいい! だけど、物語の基本設定もストーリーラインも、そして(同じMAPPAが作ってることもあって)アニメーションの絵柄も『呪術廻戦』に似ていて、何だか『呪術廻戦』のサイドストーリーというかスピンオフを見ているような気になってしまうのがどうもよろしくない(とはいえ、似たような設定やストーリーラインの作品は世の中に掃いて捨てるほどあるので、制作会社がMAPPAでなければ、作品の印象は全く違ったものになっていたかもしれない)。
この作品はいわゆる制作委員会方式ではなく、MAPPA一社が全ての責任を負って制作していて、EDを毎話変える(しかも歌っているアーティストは、いずれもアニメのOP、EDでお馴染みの豪華な面々)など、とにかく力の入れようがハンパないが、私には『チェンソーマン』は(見かけの派手さはともかく)今のところ「よくあるジャンプ系バトルマンガ」の域を出ておらず、物語としてそこまで魅力的だとは思えない。もちろん2期以降(といっても、まだ正式に制作が発表されたわけではないが)に、“とてつもない神展開”が待っている可能性もあるので、それを期待したい。
評価はC~B-といったところ。

『Do It Yourself!! どぅー・いっと・ゆあせるふ!!』

「主人公が入部したことで、廃部寸前だった部が生まれ返る」という定番の学校の部活ものだが、その部活がDIY部というのが斬新。でも、それ以上に凄いのは、この作品にはライバルも試合も出てこないことだ。この手の作品はテンプレ展開だと、「ボロボロだったDIY部は新生DIY部として『○○大会で全国優勝を目指す!』という目標を掲げるが、そこに強力なライバル校が立ちはだかる。プレマッチでボコボコにされて一度は部が崩壊しかけるが、バラバラになりながらも立ち直った彼女たち。そこに新たな才能を持った新メンバ(と新たな顧問)が加わり、下馬評を覆して県大会を突破Σ(Д゚;/)/…エエ!?。次の関東ブロック大会へとコマを進めた…」みたいなものになりそうだが、このアニメは『どぅー・いっと・ゆあせるふ!!』というゆる~いタイトルが示すように、「頑張って1番を目指す」というような作品ではない。「新たな部員を獲得する」という目標はあるが、それはDIY部が楽しくて、その楽しい場を失いたくない、という、ただそれだけの理由に過ぎない。
ある意味、究極の日常系部活もの。キャラクタたちの体温が感じられるようなアニメーションと、ゆったりと流れる時間をすくい取るようなストーリー展開とが相まって、とても贅沢なアニメになっている。キャラデザは萌えともエロとも無関係なので、いわゆる萌えブタさんたちはあまり興味が湧かないアニメだろうが、見逃すのはもったいない作品。
評価はB-~B。

『ぼっち・ざ・ろっく!』

ぼっちの少女がバンド活動を通じて少しずつ変わっていく、という話。陰キャでぼっちの主人公、後藤ひとりは中1から3年、たった1人でギターを練習してきたが。高1になっても一緒にバンドを組んでくれる人が見つからない。そんなある日、公園で見知らぬ少女から突然、「辞めちゃったギターの子の代わりにサポートギターで出て!」と懇願されて、なし崩し的にライブハウスで演奏することに…。そして、それがきっかけで、ひとりは念願のバンドを組むことになる。持ち前の陰キャで引っ込み思案なところから勝手に1人でコケまくりつつも、ひとりの人生は変わっていく。
今期最大のダークホースと騒がれている作品で、私も激推ししたい。「ぼっちちゃん」こと、後藤ひとりが毎話繰り出すぼっちネタが秀逸で、それだけでもう最高だが、バンドを組むぼっちちゃんたち4人を含め登場してくる人たちが、それぞれちゃんと生たキャラとしてそこに存在しているのが素晴らしい。
ぼっちネタ・アニメとしては『古見さんはコミュ症です。』などがあるが、『古見さん~』がとても偽善的だったのに対して、『ぼっち・ざ・ろっく!』はぼっちを等身大のものとして捉えていて、その点からも『古見さん~』より好感が持てる。ちなみに私が見るに、実のところぼっちは極端な人見知り、というだけだと思う。私のように仕事以外ではほとんど全く他者とつながりを持たない者から言わせれれば、ぼっちは人前では挙動不審になってしまうものの、「誰かとバンドを組んで大ヒットを飛ばし、みんなからチヤホヤされたい」という願望を持っている点で、ちゃんと人と関わりを持って生きていきたいというマトモな人である。
ギャグアニメとしても(ちょっととぼけた)人間ドラマとしても最高に面白くて、評価はA-~A。

『ベルセルク 黄金時代編』

原作は先頃亡くなった三浦建太郎によるダークファンタジーの金字塔『ベルセルク』。過去2期にわたってTVアニメが放送されたが、今回の「黄金時代編」はその前日譚に当たる。元々、劇場版3部作として制作されたものに新規シーンを追加し、全13話に再編集したもの(なお、私はこの劇場版を見ていない)。
先に放送されたTVシリーズは1期がミルパンセ、2期がライデンフィルムの制作だったのに対して、「黄金時代編」はSTUDIO4℃の制作。STUDIO4℃による「黄金時代編」は、TVシリーズに比べて絵がCGくさくなくて見やすい(とはいえ、私は劇画タッチを何とか再現しようとしたTVシリーズの絵も嫌いではない)。ただやはり、元々3本の劇場版として制作されたものだから、新規カットを加えたとはいえ、各話とも終わり方が若干不自然な感じがした。
「黄金時代編」は、「国盗り物語」に始まり、それが最後に来て「デビルマン」へと変容する。『ベルセルク』全体の中では、本編に入るまでの長いプロローグという感じだろうか。なので話としてはまとまりがいいし、合戦シーンなどもあって見応えはあるが、物語として面白いかと言われると…(-_-;)
なので、評価としてはC。

『虫かぶり姫』

最近はドラマでもアニメでも、とにかく物語の展開を早くして視聴者の興味を引き続けることに血道を上げているものばかりだが、この作品はその真逆で、大きな事件はもちろん、出来事らしい出来事も、ほとんど何も起こらない。
ベルンシュタイン侯爵家の令嬢ながら、何より本が好きな“本の虫”で、「虫かぶり姫」とあだ名されたエリアーナはある時、王太子であるクリストファーから、お互いの利点のために名ばかりの婚約関係を結ぶことを提案され、それを受ける(ちなみに、それによってエリアーナが得たのは、王宮図書館を自由に使う権利だった)。だが4年後、王宮に子爵家令嬢のアイリーンがやって来たことで、エリアーナは名ばかりの婚約関係の終わりを予感。愛のない形だけのものだった筈なのに、彼女の心は揺れ動く…。
世間知らずの「虫かぶり姫」のラブロマンスに、王国と周辺国との間の微妙な関係や王太子妃の座を巡る若干の政治劇をまぶした、この作品のテイストは、いわゆる少女マンガそのもの。大きな出来事ほとんど何も起こらないのだが、見ていて不思議につまらないとは思わない。むしろ、やたらと情報を詰め込んで気ぜわしい昨今のアニメの中にあって、このゆったりとした空気感がとても心地よく感じる。
「虫かぶり姫」エリアーナは引っ込み思案で優柔不断なキャラで、そういうキャは見ていてイライラさせられることが多いが、上田麗奈演じるエリアーナには、そうした中にもしっかりとした軸が感じられて、あまりイライラすることがなかった。
評価としてはC+~B-。

『4人はそれぞれウソをつく』

そのタイトルから最初はミステリ作品かと思っていたら、全然違った。これは、とある女子校を舞台にした、1人は地球征服に来た宇宙人の大佐、1人は人の心を読むサイキック、1人は抜け忍で里から命を狙われていて、1人は女子の振りをした男子、という4人が織りなす、学園ドタバタ・ギャグアニメである。
アニメYouTuberの中には、この『4人は~』のことを「ストーリーがスカスカ」などと批判している人もいる。けれど、突飛な設定の学園ドタバタ・ギャグアニメという点で『うる星やつら』と比べると、テンポ感もギャグのキレも『うる星』より上である。それはすなわち(高橋留美子の原作に準拠した)『うる星』が令和の時代感覚とは違う昭和の作品である、ということ。だから私は『4人は~』は、そこまでひどい作品だとは思わない。
私としては標準並みの出来だと思うので、評価はC~C+。


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