ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
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Why So Serious ?

2008-08-03 17:00:34 | 映画
全米で社会現象と化して、今も爆発的ヒットを続ける『ダークナイト』を先行で観て来ました。

いや~コレはホンマに凄い映画です!!

単にアメコミ・ヒーロー映画というジャンルを飛び越え、ある意味『羊たちの沈黙』にも通じるサイコ・スリラー、もしくは重厚な犯罪映画だとも言っても過言ではないかと思います。

ジョーカーという正体不明の狂った“絶対悪”とも言える犯罪者の登場により、正義や人の良心や理想等は全て偽善であると完全に否定される物語だからです。

バットマンという蝙蝠の扮装をした男が、己の信念による正義を名乗り悪を叩きのめす。
一方でジョーカーというピエロの扮装をした男が、ただ「楽しいから」と次々と罪を犯していく。
バットマンとジョーカーを隔てる“壁”は非常に曖昧であり脆くて、実は微妙な表裏一体でもあります。


何の力も持たない一般人にとっては、両者は「ヒーロー」だろうが「犯罪者」だろうが、単に社会や常識からはみ出た“異常者”でしか成り得ない事実を本作は冷酷に描いています。

コレはある意味“ヒーロー”と言うモノの否定であり、良かれ悪かれ今後アメコミ・ヒーロー映画は、『ダークナイト』と言う作品の影響を受けるのは間違いないかと思います。

とにかく残忍で冷酷非情なジョーカーを演じた、故ヒース・レジャーの鬼気迫る迫真のキチガイ演技は凄まじい。

何の躊躇もなく人を虫けらの如く殺し、人々が混乱し苦悩する姿を見るのが何より楽しむ、そんな鬼畜外道なジョーカーの姿は衝撃的であります。

そんなジョーカーの衝撃に影に隠れ気味だが、我らがクリスチャン・ベール演じるバットマン/ブルース・ウェイン。

自ら選んだ筈の二重生活(会議中に居眠りする姿は可愛い:笑)に疲れて苦悩しながらも,己の暴力衝動を抑えきれない「怒れる」ヒーローを熱演していてカッコ良い。

この2人に負けない存在感を発揮するのが、本作の“もう1人の男”であるハービー・デント/トゥー・フェイスを演じるアーロン・エッカート。

正義と理想に燃え、法を信じる颯爽とした彼は、ゴッサム・シティの希望の星「光の騎士」と讃えられる。
しかし、ある“悲劇的な事件”によって、意図も容易く自らの心の闇に深くハマり、正義の人であったデントもトゥー・フェイスという狂気の悪党に変貌してしまう。
そんな本作で最も悲劇的なキャラクターを、エッカートは実に悲痛ながらも情感豊かに演じています。

暴力と狂気が渦巻く本作にあって、唯一理性的かつ良い意味で普通の人間であり、「正義」を貫く人物こそゲイリー・オールドマン扮するゴードン警部補だろう。
オールドマンの渋い演技が、より作品に深みと奥行きを与えている。


リアリティ溢れる本作だが、コミックに対するオマージュを忘れていないのも素晴らしい。

個人的にはラストの決戦にて、コミックと同じく“白目”になるバットマン(何故白目になるかは観てのお楽しみ!)が最高にカッコ良い。
あと実際にはバット・モービルの成れの果てでもある(笑)、本作より登場するバット・ポッドもメカ好きには堪らない。
このバット・ポッドに乗り、闇夜のゴッサム・シティを駆け抜けるバットマンの姿は正に“暗黒の騎士”であります。

それにしてもダークかつ重厚なドラマと,激しいアクションとの両立させた,監督と脚本を手掛けたクリストファー・ノーランはやはり凄いクリエーターであります。
こんな傑作を生み出した,彼の今後にも注目が集まりますね.

とにかくラストまで観ると、何故本作のタイトルが「ダークナイト(暗黒の騎士)」であるかが判ります。
そして、その真意が判った時こそ、あまりの高潔かつ神々しい精神に感動すら感じるでしょう。

ホンマに凄い映画です、間違いなく今年No.1映画の候補であります。


「彼こそが“暗黒の騎士”だから…。」




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