ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

The Satanist/BEHEMOTH

2014-02-07 13:16:33 | 音楽
ポーランドが生んだ暗黒大魔獣BEHEMOTH。
通算10枚目となる、最新作『The Satanist』を聴いた。



アルバム・タイトルに「Satanist」ってのは、まんまって気がするが(苦笑)。
コレがネルガル様の、嘘偽りの無い真っ直ぐなメッセージであり本作のコンセプトなのだと思う。
前作『Evangelion』は文句無しの傑作だった。
あのアルバムによって、世界中でBEHEMOTHと言うバンドの人気と地位は決定的となった。
そこに来て、最新作『The Satanist』となる訳だが…。
先に言ってしまえば、本作は最高傑作と言われた前作を凌駕する素晴しい作品になっている。
この『The Satanist』こそ、BEHEMOTHというバンドの最高傑作になると思う。



語弊がある言い方になるかもしれないが…。
本作は彼らがリリースして来たアルバムの中で、実は最も「キャッチー」である事がポイント。
この「キャッチー」という言葉には色々な意味があり、アルバムを聴いて貰えば判ると思う。
ただ単に「キャッチー」と言う訳ではなく、逆に言うと本作は前作以上にブラック・メタルらしい邪悪さと禍々しさを撒き散らしている。
その一方で「キャッチーさ」が混在している事実が凄まじい、それが素晴しいアルバムの完成度につながっていると思う。
アルバムのタイトル・ナンバーである“The Satanist”は、ある意味メロディアスでポップであると言っても過言ではない。
しかも「Satanist」というタイトルとあの歌詞である、そこにBEHEMOTHというバンド特有のアンチテーゼを感じる。



そして「シンガー」としてのネルガル様の成長も大きい。
前作でも単に邪悪に喚き散らすのではなく、実はしっかりと唄っていると言う傾向が強くなっていた。
その声は歪み濁って憎々しいながらも、本作では「歌」として確立されている。
怒濤の勢いで炸裂するブラスト・ビートにのって、憎悪に満ちた声ながらもしっかりメロディがあるのがポイント。
ネルガル様のシンガーとしての向上と表現力の広がりは、楽曲を更にドラマチックに盛り上げる事につながっている。
特に“In The Absence Ov Light”、こう言った楽曲は今まで無かったタイプの楽曲だ。
この曲でアコースティック・ギターをバックに静かに語るネルガル様、邪悪さと荘厳な雰囲気がより際立っている。



あとサウンド。
前作よりも、クリーンで各パートがしっかり粒立って聴こえるのも大きい。
特にオライオンの縦横無尽に暴れまくるベースの音が、重低音で効いているのが良い。
プロデュースはバンド自身だが、ミキシングを担当したマット・ハイドの貢献は大きい。
シンフォニックになったり、ラウドかつノイジーなサウンドになる訳でなく。
ストレートかつオーガニックに、クリアーなサウンドになっている事も「キャッチーさ」の大きな要因。
ギミックに頼る訳ではない本作のサウンドは、今後こう言ったエクストリーム系のバンドに大きく影響しそうだ。
本作に付いているDVDのドキュメントにあって、ネルガル様は今現在のエクストリームという言葉に批判的でした(笑)。



未だに「もう1人のメンバー」って感じが強いセス(苦笑)。
アルバム毎に、彼の存在感は大きくなっているのは事実かと思います。
本作ではネルガル様も「ギタリスト」として、持てるスキルを存分に発揮しています。
しかし、ギタリストとしてはセスがリード・ギターである事が良く判ります。
随所に挿入されるテクニカルかつメロディアスな速弾きは、セスらしいプレイだと思います。
ギター・ソロの比重が大きくなったのも、本作では大きな要素かと思います。
“Messe Noire”、“The Satanist”等と言った楽曲はストレートにHM/HRらしいギターが聴けます。



そして何と言っても魔人インフェルノの存在。
彼という存在無くして、BEHEMOTHというバンドのサウンドは成立しないと思っています。
その超人的なDrプレイは本作でも凄い!
怒濤の勢いで炸裂するブラスト・ビート、そして手数・脚数の多いプレイは圧巻です!!
よく速さだけに拘っているので、実はドラムの音が軽いのでは?と批判される事もあります。
しかし本作のサウンドを聴けば、彼のその一打一打が重くて硬いサウンドあるのかが良く判ります。
あと彼のプレイがドラマチックな楽曲を、更に効果的に盛り上げているのも良く判ります。
本作のラストを飾る“O Father O Satan O Sun !”は必聴です。




とにかく普通に、滅茶苦茶カッコ良いアルバムになっています。
ブラックだのデスだの関係なく、多くのメタル・ファンが聴いても「カッコ良い」と思えるサウンドだと思います。
以前から言っていますが、彼らは非常に「わかりやすいサウンド」を提示するバンドでした。
その「わかりやすさ」が、一つの究極の形で集約されたのが本作『The Satanist』というアルバムだと思います。
この「わかりやすさ」は、メタル云々だけでなくロック・バンドとしての普遍的なカッコ良さとも言えます。
一度「死」に直面し、そこから不死鳥の如く復活したネルガル様の「生きる事」へのポジティヴなパワーに満ちているとも言えます。
いや~また凄いアルバムを作ったものです。
多くのメタル・ファンに聴いて欲しい傑作であり、超おススメです!!




神を讃えよ、神を讃えよ
“ソドム”というワインを口に含むが良い
神を讃えよ、神を讃えよ
“ゴモラ”という罪が我々の心に恩寵を与えてくれる