ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

SILENT HILL

2006-07-08 16:25:46 | 映画
『サイレント・ヒル』を観た。
本作の原作は世界的に大人気のゲームだと言う、最初に白状すると僕は全くゲームに対する知識は無い(笑)。
僕が本作を観ようと思う最大の動機は、監督をしたのが他ならぬクリストフ・ガンズだったからだ。
ガンズと言えば、日本産コミックの映画化にあって隠れた傑作『クライング・フリーマン』でデビューを飾った人物だ。
日本のコミックが、海外で実写映画化されると、観るも無惨な作品になる事が多かった。
デビュー作の『クライング・フリーマン』において、原作のテイストを生かしつつ、香港ノワール風味で味付けした素晴らしい作品だった。
日本の“好き者マニア”にガンズと言う監督を一気に浸透させるキッカケになったのが、フランスの史実をベースにした『ジェヴォーダンの獣』である。
史実をベースにってのは建て前で、実際にはクンフー/怪獣映画の醍醐味を詰め込んだ、ごった煮映画の傑作であった。
そんなガンズが満を持してハリウッドに進出して、その記念すべき第1作目が本作なのである。
よく「ゲーム原作の映画に傑作は無し」と言われるが、本作はその固定概念をブチ壊す作品になりそうだ。
ゲーム云々抜きにして、本作は一本のホラー映画として、観ていて久々に「怖い」と思える作品でした。
理屈抜きに本作は、ホラー映画として立派な傑作です!!
本作の“肝”となるのが、スタイリッシュなガンズの映像美と演出。
以前は借り物のセンスだと言える要素もあったが、本作では今までの作品を咀嚼し、自らの個性に昇華した、ガンズ独特の映像美と演出が光っている。
特に劇中に登場する、何とも言えず不気味かつスタイリッシュなクリーチャーが、何ともフェティッシュかつ魅力的である。
あと脚本も良い。
さすが、あのタランティーノと共に『パルプフィクション』を書いたロジャー・エイヴァリーである。
暗さと歪んだ毒を含んだ物語の展開は見事だ。
本作は非常に宗教色が強いが、逆にそれを本作の“毒”にしているのもポイントだろう。
何故こんな事が起きたのか?
ヒロインは終盤にその真実を知る、だがその真実は実に陰惨なモノであった。
過度にして極端な信仰、そして児童虐待と言う憎むべき行為を正当化させる狂気…これは正にアメリカ社会が抱える“闇”である。
終盤からの展開に関して、観た者の解釈が違ってくるだろう。
ラストの凄惨極まる阿鼻叫喚な地獄絵図の果てに、訪れる静かな結末…近年のハリウッド映画では考えられない、アン・ハッピーな結末であるのも衝撃的だ。
本当に凄い映画だ。
ガンズ監督は次回作に『鬼武者』(ぴったりだ!)の実写映画化予定している様だが、個人的にはこの続きを観てみたいと思えて仕方ない。
本当に色んな意味で、久々に「怖い」と思える映画でした、文句なしの傑作です!!

「全ての子供にとって母親こそ神なのよ…。」