小田博志研究室

研究情報とブログを掲載

業績表

2021-02-01 | 研究・教育
著書小田博志2023『改訂版 エスノグラフィー入門――〈現場〉を質的研究する』春秋社.山口未花子・ケイトリン・コーカー・小田博志 2023『生きる智慧はフィールドで学んだ:現代人類学入門』ナカニシヤ出版(担当:第9章 生命,  pp.135-148,第10章 言葉, pp.151-161, 第11章 平和, 163-177,第12章 エスノグラフィー,pp.179-194)。小田博志・関 . . . 本文を読む

業績表(学会発表・講演等)

2021-02-01 | 研究・教育
学会発表小田博志(2024.6/15)「脱植民地化のためのポータル:サッポロの風景をよみがえらせる」分科会:トラウマ空間とアーカイヴ実践,日本文化人類学会第58回研究大会,北海道大学.小田博志(2018.6/24)「先住民族遺骨のrepatriation(返還/帰還)と脱植民地化:東京大学・小金井良精が「収集」したアイヌ遺骨を事例に」日本平和学会2018年度春季研究大会・自由論題部会、東京大学駒場 . . . 本文を読む

研究ツールボックス(院生・卒論生必見)

2020-12-05 | 研究・教育
以下の情報は主に北大で文化人類学を専攻する大学院生を想定したものですが、卒論を書く学部の学生にも役に立つと思います。研究をスタートさせ、進めるにあたって便利な情報を集めてみました。文献検索に便利なウェブページ 役に立つ辞典・事典類 先行研究の検討ということ文献検索に便利なウェブページ論文の検索日本の論文を探す(CiNii Articles、日本語学術論文の検索)Google Scholar(各国語 . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 III. 質的研究の理論的背景

2020-12-03 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 III.質的研究の理論的背景 [言語・言葉論] [現象学と現象学的社会学の理論] [文化の理論] [グラウンデッド・セオリー . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 II. 特定分野に向けられた文献

2020-12-02 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 II.特定分野に向けられた文献 [社会学分野に向けられたもの] [看護学分野に向けられたもの] [福祉学分野に向けられたもの] . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 I. 質的研究の概説書と研究例

2020-12-01 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 I.質的研究の概説書と研究例 [質的研究の概説書] [質的研究の倫理] [研究デザイン] [質的研究とコンピュータ] [フィー . . . 本文を読む

土の時間

2020-09-05 | 魚眼図
 土には土の時間がある。そのことにようやく気づくようになった。  札幌市内で小さい土地を借りて耕しはじめたのが3年前。もとは湿地帯で、農地になってからは水田として使われていたらしい。そのためだろう粘土質の赤土で、雨が降ればぬかるみ、乾けば固まって、爪も入らないほどカチカチになる。農薬も肥料も使わず、くわとスコップだけで耕すのが流儀だ。くわで土を起こそうとしたら、刃がグニャリと曲がってしまったのに . . . 本文を読む

コロナ後の「生類の平和」のために

2020-06-07 | 平和
コロナ後の「生類の平和」のために小田博志  「人間はちっとも偉くない。森や川、空や大地の声に耳を傾けよ。その全部に精霊が宿り、沢山の事を教えてくれて、それに従う。人間の都合だけで判断する事は間違っている。お前たちの社会は目先の事しか考えず、目に見えるものしか信じない。森が無くなれば、インディオも死ぬ。でもお前たちも滅びることを忘れてはならない。」(アマゾン・カヤポ民族の長老ラオーニ) 1)   . . . 本文を読む

緊急メッセージ ー 新型コロナウィルス感染症と文化人類学

2020-05-13 | 学問
緊急メッセージ ー 新型コロナウィルス感染症と文化人類学  ひとつの病気が世界をみるみるうちに変えていっています。昨年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)です。これは世界的に感染拡大をするパンデミックであり、各国が緊急事態宣言、国境封鎖、都市封鎖(ロックダウン)、外出自粛(ステイホーム)、休業要請、そして社会的距離などの防止対策を打ち出し、人々の生活は大きく影響を受 . . . 本文を読む

「治す」から「治る」へ

2020-01-23 | 魚眼図
 1923年(大正12年)の関東大震災直後、焼け野原となった東京に不思議な少年が現れた。彼が手当てをすると、たちどころに病気が治るというので、人が行列をなして訪れたという。その少年は野口晴哉(はるちか)(1911~76年)。当時、12歳だった。その後、野口は治療家としての道を歩み出し、3年後には自分の道場を構えるまでになった。 しかし、後に野口は治療術を止めてしまう。そのまま続けていれば、富も名 . . . 本文を読む

プロフィール

2020-01-01 | 研究・教育
小田博志(ODA Hiroshi)北海道大学大学院文学研究院 教授 専門分野は人類学です。 いま「自然」と「いのち」というテーマに強い関心をもっています。自然と人間、自然と文化を分けるのではなく、両項を切れ目なく捉えることができる視座とはどのようなものだろう、という問題を、「自発性」をキーワードに考えています。具体的な事例としてがんの自発的寛解、森林再生、自然栽培などを、ドイツ、北海道、紀伊半島な . . . 本文を読む

アンデスのサルワ村

2019-11-25 | 魚眼図
 あざやかな衣装を身にまとった人々が通りを行き交う。男女問わずほとんどの人が山高帽をかぶっていて、そのつばがまたカラフル。さらにそこに花飾りを挿している。美しく着飾ることを楽しんでいるようだ。同じ通りをロバや犬が人に混じって闊歩(かっぽ)している。南米ペルーのアンデス山中にあるサルワ村の情景だ。  初めてこの先住民族の村を訪ねて、衣装など形あるものとともに印象に残ったことがある。それは村の雰囲気 . . . 本文を読む

生きている世界

2019-07-24 | 魚眼図
 眼下に広がる赤い大地に、「これがカントリーだ」と機内から目を凝らした。しばらくすると飛行機は鮮やかな色の海と砂浜を横切って、オーストラリア北西部の町ブルームに降下した。ここはヤウルというアボリジニの1グループが住むカントリーだ。  「カントリー」とは、オーストラリアの先住民族アボリジニにとって、たんなる「国」に留まらない、特別な意味をもつ。その世界への扉を開いてくれる本に『生命の大地』(平凡社 . . . 本文を読む

北海道の「民衆史掘りおこし運動」を掘りおこす(文献表)

2019-06-28 | 研究・教育
作成・小田博志,開設2007年2月2日,更新2024年8月24日 北海道における「民衆史掘りおこし運動」は、北見の高校教諭・小池喜孝氏が中心となって始まり、のちに全道規模に広がりをみせた下からの歴史発掘運動です。この民衆史運動の大きな目的は、役所や主流アカデミズムが作成する「公式の歴史」では見落とされてしまいがちの「民衆」―そこには政治的抵抗者、囚人、タコ部屋労働者、女性、ウィルタ・アイヌなどの先 . . . 本文を読む

いのちへの信頼

2019-04-18 | 魚眼図
 こんな人がいたんだ!と、渡辺位(たかし)さん(1925~2009年)のことを驚きをもって知った。渡辺さんは国立の医療機関に勤務する児童精神科医で、不登校の子どもたちと関わった。そういうと、子どもを学校に行かせるための「治療」をしたのかと思うかもしれない。しかし実際はその逆だった。  渡辺さんは、不登校の子どもを異常だとは考えなかった。むしろ不登校とは、学校によって自分のいのちや存在が危うくなる . . . 本文を読む