こんにちは! 新日本婦人の会 王寺支部です

お知らせや日々の活動などを、皆様にお届けします。

娘に寄せる思い(1)

2007年09月29日 07時33分48秒 | 娘に寄せる思い
・・嫁ぐ娘に、遠くに住む娘に、我が家の娘に、
                 幼い娘に、など・・


みなさん、娘に何か言いたいこと・これだけは伝え
ておきたいこと・今しか言えないことなどありませんか?

面と向かってだと、なんだか言いにくい、言いそびれて
しまう、だけど話しておきたい・・そんな気持ちを300字
ほどの文章にのせて、娘さんに伝えてみませんか。

新企画「娘に寄せる思い」の投稿をお待ちしています

皆さんも良く知っておられると思いますが、詩人の
高田敏子さんに、こんないい詩があります。

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「娘」

スミレの花に生まれればよかった と
娘は いった
昼も夜も土の壕にひそんでいた日

花はこわくないのね
爆撃のあとの畑に
ニラの花は白くすずしく立って咲いていた
娘の名はスミエ
その名を呼ばれる度に娘は「スミレ」と聞いてい
たのだろう

なぜ 花になれないの?

幼い娘の問いに 私は
花になれない人間の
爆撃に飛び散るときの肉の重みを思っていた

娘はいま二人の子の母になって
ケーキを焼いている
バターは何グラム
おさとうは何グラム
その目盛りを正確に計ることに心を集めている
私はまだ あの重みを思っている
私が見てしまった肉片の重み
私が看護した兵士の失った片足の重み
そして私がこの家から運び出されるときの重みも

ケーキにはバターも 砂糖も
たっぷりと入っていて
入りすぎて味が少し落ちたのではないかと
娘は首をかしげている
これでいいかしら?おいしいかしら?

そんな娘を私は愛しく思う
人はいつも死に向いあっている必要はないのだか
 ら
暗い淵ばかりを見つめていることもないのだから

それにしても ケーキの味の良し悪しを
私に問いかける娘の不安な表情は
あの幼い日のまま
花になりたかったときと同じなのだ
そんな娘を 私は愛しいと思う



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