大学教員の第一義的な仕事は授業をすることですが、Maclean's を見ていたら "In this class everyone gets A+" (3月23日号, pp.36-37)という記事がありました。「こんな素晴らしい授業をしているので学生の理解度もびっくりするくらい高いのだ」という記事かと思って見てみましたがちがいました。はなしはオタワ大学の物理学教授Denis Rancourtについてです。この教授、業績も多くある研究者なのですが大学教授の例に漏れずちょっとした変人のようです。教育熱心な彼は、「成績をつけないほうが学生はよく学ぶ」という考えに基づき、2008年度の2つの授業の成績評価を「pass-fail」で行うことにしましたが、認められなかったために、履修者全員に「A+」の評価を与えることにしました。大学側はこれも認めず、教授の入構を禁止し、指導されていた大学院生には指導教官の変更を求めることにしました。
Rancourt教授を支持する意見としては、成績評価のありかたも教育手法の一つでかあって、学問の自由の一環を構成するものであるので、成績評価の方法を理由にfull tenured professorに対してこのような処分を行うことは認められない、というものです。反対意見は「それはそういう自由の問題ではない。奨学金申請などにも関わる」としています。「pass-fail」のみの評価方法はStanford, Yale, Berkeleyなどのロースクールで導入されているほか、Alverno Collegeという大学ではgradeを止めているようです。
「成績をつけないほうが学生がよく学ぶ」ということ自体はいろいろ検討されている教育学上のトピックではあるようですが、そんなもんなのかしらねー、さしあたって僕の担当した授業ではそうはいかんだろうなー、と思う一方で、大学まで来て「テストにどこが出ますか」ということばかり気にさせてしまうのも望ましいことではないよなあとも感じます。だからといって4段階や5段階評価を通常の講義形式の授業で導入するのはつらいよなあというところでしょか。ま、授業の出席率が低いのがどうしよう、とかいってるようでは問題になりませんな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます