だからちがうんだってば.

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国民医療費の2000年問題

2012-08-09 14:27:09 | 経済学

とある事情で国民医療費という統計を使っています.井伊大先生が橋本・泉田編『医療経済学講義』で書いていらっしゃるとおり,SNA統計との整合性もないし,国際的な比較にもあまり向いていない統計なのですが,ぼくみたいに国内の話しかしないぶんには長期系列が揃っているという点でなかなか便利な2次統計です.

なのですが,この統計,2000(平成12)年度の介護保険導入時でデータが連続していません.なんといっても「医療費」の統計なので,介護保険導入時に「国民医療費の対象から介護保険の費用に移行したものを除く」という操作を行なっていて,この年度には国民医療費が減少するというちょと謎な現象が起きています.2000年に断絶があるということ自体は業界内(?)ではよく知られた事実で,そんなに本気で国民医療費統計を使う人がいないからなのか,「ああ,まあ,そうだよね」という扱いになっています(たぶん).マクロの医療費を扱って,かつ,健康保険に興味があればSNA統計から社会保険の部分をとりだせばいいはなしで,こちらも基準改定があるものの,そこそこの長期系列もあり,他のマクロ変数との整合性もとれているので便利なわけです.

ということで,SNAを使えばよかったのですが,うっかり国民医療費統計を使いはじめてしまい,2000年問題はとりあえず軽くスルーしようと思ったところ,上の方から「介護の部分は調整しないとねー」という声が聞こえて困っています.というのも,国民医療費で「介護保険の費用に移行したもの」が,介護保険の統計の方にこれと分かる形で出ていないから,です.ぐぐっても解決策はとりあえず見つからず.ううむ.

しょうがないので,1996年度からの診療種類別の国民医療費の伸びを見てみると,1999年度に7665億円あった「老人保健施設療養費」という項目が2000年度に消えています.また「老人訪問看護医療費」も80%以上減少しています.そこでとりあえず「平成12年度介護保険事業状況報告」の第11-3表をみると,介護老人保健施設の施設サービスの費用額が8394.7億円あって,まあだいたい対応してそうです.医療費っぽいところで介護療養型医療施設の施設サービスの費用額が5091.6億円です.また,国民医療費の1997ー99年度の平均伸び率2.6%で99年度の数値を伸ばしてみると31.5兆円となって,実際の値30.1兆円と1.4兆円ほどの違いがありますが,これがちょうどさっきの介護老人保健施設と介護療養型医療施設の費用額の和と同じくらいです.

ってことで,介護老人保健施設と介護療養型医療施設の施設サービスの費用額の和でだいたい代替できるのじゃないか,とおもいます.いいのかしらん.もしご覧の関係者のかたがおられましたら,こういうインチキをしてますので許してください(いいのか).

と思って作業してたら計算間違い発見.あーもぅ.


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