政府部門の効率性を測るのは,産出物が市場で取引されないだけになかなか難しいところなのですが,郵便サービスを使って計測しましたという論文が出たようです(Chong et al., 2012).やってることは,世界各国の存在しない住所に郵便を送って,それがちゃんと返ってくるかどうか,返ってくるまでにどれくらいかかるかを測る,ということで,なんというか,思いついたのがえらかった,とおもいます.シンプルで世界共通の尺度であること,賄賂と無関係に計測できること,がメリットとして挙げられています.イントロだけ流し読みしたところ,100%返ってくる国もある一方で,まったく返送されない国もあり,そのバリエーションはかなり大きいようです.ほー.
論文の最初の方に "Focusing on mail follows the proposal of Edward Prescott in the early 1980s that postal economics might be more central to understanding the economy than monetary economics" (郵便に着目したのは,1980年代のはじめに,エドワード・プレスコットが「経済を理解するには金融よりも郵便のほうが重要かもしれない」と提案したことに従っている)とあって,さらに脚注で "Personal communications from Edward Prescott, Patrick Kehoe, Timothy Kehoe, and Ellen McGrattan." とあるんですが,ええとこれって…….
Chong, Alberto, Rafael La Porta, Florencio Lopez-de-Silanes, Andrei Shleifer. 2012. Letter Grading Government Efficiency. NBER WP 18268.