日を同じうして(?),目がしんどいです.どうしたこっちゃ.目の環境はそれほど変わってないように思うのですが.うーむ.ブルーベリー食べたほうがいいですか関係ないですか.
地震から3週間以上が経過しました.経済学は基本的には平時の学問であるなあとおもうことしきりですが,復旧・復興へ向けて,限りある資源を配分するということでいろいろ言われているようです.じろじろ読んだわけではないのですが,なるほどなあと思うものもあり,どうかなあと思うものもあったり.要らんことを考えるくらいなら瓦礫の1つも運んだらどうや,と言われればそれまでかともおもうのですけど.
齊藤誠先生のここのところの記事はいずれもなるほどですが,とくに4月2日付の記事は基本を失っていないという意味でとくに納得しました.
Cash-for-Workは最初はなんじゃらほいと思いましたが,自宅周辺の片付けにも賃金を払うあたりに納得しました.避難や復旧に発生しがちな無償労働に対して賃金を払おうという発想はすばらしい.被災地外からボランティアに来る人には(定義により)払わなくてよいのですが,払っておいて寄付してもらってもいいわけだし.
計画停電は評判悪いようです.昨年の(これまでの)電力消費量をまかなうだけの電力供給がないという意味では電力が不足していますが,需要と供給が一致しなければ何らかの調整メカニズムが働くのは経済学の基本といえば基本で,足りなければ価格が上がるわけで,価格が上がらなければ所与の価格水準にたいする需要か供給の少ないほうが実現します.価格が調整しなければ数量が調整します.数量調整を乱暴にするか(予期しない大規模停電),計画しながらやるか(計画停電),いずれも評判が悪ければ,価格を上げる必要があります.電力は生活必需品っぽい(価格弾力性が小さい)とすれば,需要を小さくするには価格を相当あげなければなりません.一義的には消費者が直面する価格を上げさえすればよいので,電力価格を直接あげても,電力消費税を導入してもどっちでもいいわけですが,ここのところの経緯をみると電力価格よりも税のほうがよさそうではあります.もちろん,需要曲線は価格の関数であるとともに効用パラメタの関数でもありますから,電力を使わなくてもいいや,となれば同じ価格でも需要量が減ることはありえます(節電).もちょっと長期的には供給が増えればいいわけでもあります(太陽光自家発電など).さて,生活必需品ということは価格をあげると低所得者層への負担が相対的に大きくなる可能性が高いです.ここで,電力特有の事情として,ピーク時がとくに問題になるのなら,契約アンペアに応じて値上げするという手段がありますよ,という野口悠紀雄先生が紹介しているアイデアはなかなか素敵だとおもいました.電力消費税は,分配面からちょっとなー,とは思うところ,アンペア数ならそういう問題は比較的少ないはず.この方法でどれくらい電力消費が減るのかはよくわからないので,2部料金を考慮した電力の需要関数の推定が必要かもしれません.電力料金体系は地域によって異なるので,居住地データと家計簿があれば,電力会社の管轄区域の境の近くのデータを使えばできるはず.「家計調査」ならパネル構造になっていて家計簿があるはずなのでできるのではないかしらん? 2部料金は累進所得税と同じように処理できるでしょうし.
復旧・復興財源がどれくらいになるかは見当もつきませんが,一時的な巨額の支出が必要になることは間違いないので,基本的には公債発行で賄うべきでしょうけど,問題は,もともと増税の必要があったところに支出の必要性が増えたというところでしょうか.復興財源だからといって,あとから返せないほど借りるのはさすがに間違いでしょう.どこで見たか忘れましたが,こういうご時世にはみんなの公共心が高まるので,復興のためといえば増税もやりやすいのだとすれば,ここで増税もしてしまって,復興需要の減少とともに社会保障財源へ切り替えるというのはひとつの手段かと思いました.増税といえば消費税というのが震災前によくある話でしたが,消費税の枠組みの中で被災地向けの軽減措置をとるのが難しそう(消費税の取り方は法人税に近いから)であれば,所得税を増税した(被災地控除とかつけて)ほうが執行コストが安いのではないかしらん.公債のほうも特別に名前をつけて,一時的なものだというのを強調しておいて,償還期間も60年ルールの例外で10年くらいで返すことにしたほうが信認を失わなくてすむのでは.
住宅ローンは踏み倒せないんですかね……って,あ,うっかりいろいろ書いてしまいました.しまった.しまったついでに言えば,厚生労働省はたぶんいろいろ抱え込み過ぎてしまうと思うので,大臣一人はしんどいのでは.厚生大臣と労働大臣を置くってわけにはいかんのでしょうかねえ.いかんですけど.