立川談春といえば,家元立川談志に「今の落語家でこいつが一番うまいんじゃないですか。オレよりもうまいんじゃないですか。ほめてやっていいですよ」(動画)と褒められた落語家として有名ですが,昨年,「赤めだか」というエッセイを上梓しています.小学生のころから二つ目になるまでの修行の日々を描いています.談秋や志らくといった兄弟弟子との共闘の日々から今の前座へのメッセージまで,爽やかなような熱いような,斜に構えたような実直なような,読ませる文章です……えーと,書評を見てください(これやこれ).立川談志といえば,僕の印象では最近はまっすぐな落語をやることもなく,分かる人だけ分かればいいということでよく言えば客を選ぶけど悪く言えばわかりにくいのですけれども,談春が描く師匠談志は,常に適切な指導ができ,包容力を持って温かく見守っていてサポートを欠かさず,厳しいし理不尽なところはあっても肝心要のところでは人情にほだされ揺れるところのある家元のようです.その科白は短くても学ぶところ多いです.
「俺には後進を育てる義務がある。自分が育ててもらった以上、僕も弟子を育てにゃならんのですよ」
「師匠なんてものは、誉めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん」
赤めだか 価格:¥ 1,400(税込) 発売日:2008-04-11 |