詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

千人のオフィーリア(メモ35)

2017-03-16 07:38:30 | オフィーリア2016
千人のオフィーリア(メモ35)

そして戻ってきた
誰かを愛していたはずだけれど、誰を愛していたのか忘れてしまった
愛したこころだけを持って戻ってきた
敗北して、疲れて、頭の中をことばでいっぱいにして。

ちょっと待って、プレイバック、プレイバックと
山口百恵は歌った、
ちょっと待って

愛したこころって、誰のこころ?
私のこころ?
愛したひとのこころ?
誰が何を言っているのか、自分の声も聞こえないくらいに
ことばが騒がしい。

覚えておいてほしい
話の核心はそれ、
それがオフィーリアの問題なのです。
愛した私のこころか、愛した人のこころか
それが問題だ
いや、そんなふうに動き回ることばが。

戻ってきた、
ベッドは焼けるように熱い、
ドアのノブは凍るように冷たい、
オフィーリアを見たら聞いてほしい。
ここで何をしているのか、と。
死ぬたびに生き返り、
果てしなさに少しずつ狂っていくのです。


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