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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

八柳李花ー谷内修三往復詩(13)

2011-12-23 01:00:37 | 
そこにあるのは  谷内修三

初めて読んだ詩には夢の中を舟が流れてくる
夢が水なのか、夜が水なのか。
その舟は母を探している。母は死んでしまって
記憶の中にもいないのに。
夢のなかでは舟と母は文字が似ている。
母が舟を探しているのかもしれない。
どこかへ行くための、あるいはどこかから帰るための。母は死んでしまって、
どこにも行けないしどこにも帰れないのに。
初めて読んだ詩の中で舟は遠くから流れてくる
光を砕きながら群青の影をつくっている。
群青の影を深く深くしずめながら流れている。
追いかけるように飛んできた鳥が
舟を追い越した瞬間、すべてが消えた。
そこにあるのは(振り返ってみても)
舟は母だったのか、母が舟だったのか。母は死んでしまって、
だれに問いかけていいのかわからない。

                         2011年11月23日

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