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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

だれの一日が、

2014-10-24 00:39:44 | 
だれの一日が、

裁判所のわきの道にヤブランが咲いている。
緑の細長い葉が乱れるなかから立ち上がって、
無造作ということばになっている。
紫を美しく見せるためだろうか、
葉っぱには白い輪郭があるものもある。
葉っぱの方が配慮を生きている。

学校へ行くこどもらの間を自転車を走らせると、
どの路地をまがったときか、左に入り込んだ路地の突き当たり、
ヤブランの花の色を窓のカーテンのなかに見た。
赤茶色のレンガと白い窓枠に非常に似合っている。
もう一度見に戻ろうか
あしたまた見ればいいか、そう思ったが

だれの一日が割り込んだのだろう。
私のあした、どの路地を走っても見当たらない。
あれは、カーテンの奥のカーテンだったのか、
部屋の奥の鏡が記憶のヤブランの色を映していただけなのか。
窓はひさしの影からのがれた場所で、
閉じたガラスが朝の太陽を斜めに滑らせている。

リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」
クリエーター情報なし
作品社


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発売は限定20部。部数に達し次第締め切り。
なお「谷川俊太郎の『こころ』を読む」(思潮社、1800円)とセットの場合は2000円
「リッツッス詩選集」(作品社、4400円、中井久夫との共著)とセットの場合は4500円
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」「リッツッス詩選集」「雨の降る映画を」三冊セットの場合は6000円
です。

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