監督 デビッド・ドブキン 出演 ロバート・ダウニー・Jr、ロバート・デュバル
判事が裁かれる。それを息子が弁護する。アメリカ映画に多い「父子」ものの映画。それはそれでいいのかもしれないが、「家庭」の情報量が多くて、見ていて散漫になる。
兄はけがで野球をあきらめ、弟には知的障害がある。ロバート・ダウニー・Jrは辣腕弁護士だが、父に愛された思い出がなく、対立している。ほんとうに「家庭(家族)」がテーマなら、母親を冒頭で死なせずに生かしたまま描かないと「家庭」の人間関係がご都合主義になる。母親はこの「家庭」をどんなふうにまとめていたのか。それが少しも描かれない。「家庭」の情報量が多いと最初に書いたが、逆なのだ。まったく描かれていない。ストーリーが優先されすぎている。
途中に挿入されるロバート・ダウニー・Jrと高校時代のガールフレンドのエピソード。娘がいるが、父親は誰なのか、という部分など、あまりにもばかげた「情報」だ。情報のための情報。映画の時間稼ぎ。
ロバート・デュバルががっしりした演技をしているのだが、からみあうのはロバート・ダウニー・Jrとだけ。ほかの家族、長男、末っ子とはきちんとした「対立」や「和解」がない。「共存」もない。だから「家庭(家族)」劇にもならない。
ラストシーンの飴玉のエピソードなど、こざかしい短編小説のトリック(伏線あわせ)のようでしらけてしまう。ここで、ロバート・ダウニー・Jrと娘との伏線を生かすのなら、途中の娘と昔のガールフレンドの娘の同じ仕草のエピソードなど絶対に避けるべきである。
こんな騒がしい映画(脚本)は最近では珍しい。
みどころはひとつ。
ロバート・デュバルがトイレで倒れる。それをロバート・ダウニー・Jrが介護する。糞尿にまみれ、風呂で体を洗う。そのときのロバート・デュバルの、身を任せきった老人の演技が真に迫っている。苦しみと、放心と、ゆっくりやってくる安心を全身と顔とで確実に表現する。名優だ。
(2015年02月02日、ユナイテッドシネマ キャロルシティ・スクリーン4)
*
「映画館に行こう」にご参加下さい。
映画館で見た映画(いま映画館で見ることのできる映画)に限定したレビューのサイトです。
https://www.facebook.com/groups/1512173462358822/
判事が裁かれる。それを息子が弁護する。アメリカ映画に多い「父子」ものの映画。それはそれでいいのかもしれないが、「家庭」の情報量が多くて、見ていて散漫になる。
兄はけがで野球をあきらめ、弟には知的障害がある。ロバート・ダウニー・Jrは辣腕弁護士だが、父に愛された思い出がなく、対立している。ほんとうに「家庭(家族)」がテーマなら、母親を冒頭で死なせずに生かしたまま描かないと「家庭」の人間関係がご都合主義になる。母親はこの「家庭」をどんなふうにまとめていたのか。それが少しも描かれない。「家庭」の情報量が多いと最初に書いたが、逆なのだ。まったく描かれていない。ストーリーが優先されすぎている。
途中に挿入されるロバート・ダウニー・Jrと高校時代のガールフレンドのエピソード。娘がいるが、父親は誰なのか、という部分など、あまりにもばかげた「情報」だ。情報のための情報。映画の時間稼ぎ。
ロバート・デュバルががっしりした演技をしているのだが、からみあうのはロバート・ダウニー・Jrとだけ。ほかの家族、長男、末っ子とはきちんとした「対立」や「和解」がない。「共存」もない。だから「家庭(家族)」劇にもならない。
ラストシーンの飴玉のエピソードなど、こざかしい短編小説のトリック(伏線あわせ)のようでしらけてしまう。ここで、ロバート・ダウニー・Jrと娘との伏線を生かすのなら、途中の娘と昔のガールフレンドの娘の同じ仕草のエピソードなど絶対に避けるべきである。
こんな騒がしい映画(脚本)は最近では珍しい。
みどころはひとつ。
ロバート・デュバルがトイレで倒れる。それをロバート・ダウニー・Jrが介護する。糞尿にまみれ、風呂で体を洗う。そのときのロバート・デュバルの、身を任せきった老人の演技が真に迫っている。苦しみと、放心と、ゆっくりやってくる安心を全身と顔とで確実に表現する。名優だ。
(2015年02月02日、ユナイテッドシネマ キャロルシティ・スクリーン4)
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