監督 大根仁 出演 福山雅治、二階堂ふみ、リリー・フランキー
福山雅治が中年のパパラッチを演じる、というのが「売り」なんだろうなあ。リリー・フランキー(うまい!)とのからみが、とてもいい。
のだけれど。
映画の後半、あれは何? 二階堂ふみに連続殺人犯(レイプ魔)の写真を撮らせる、というところで終わっていいんじゃない? その撮影の前に、二階堂ふみに「こんな男(殺人犯)許せない」というようなことを言わせている。それだけで、二階堂ふみを「記者」にしている。それで、十分。いまどき、こういうジャーナリストはいないだろうなあ、とは思うが。そういう意味では、これは「現実」を描いているというよりも「理想」を描いた映画なのだが。
その「理想主義(?)」が、この映画をときどき、とてつもなく変なものにしている。
ラストのエピソードの寸前の、福山雅治と二階堂ふみのベッドシーン。あれはいったい何なのだ。いまどきブラジャーとパンティーをつけたままのセックスシーンなんてあるんだろうか。二階堂ふみの映画をそんなに見ているわけではないが、「清純派」で売っているわけでもないだろうに、なぜ、あんなシーンなのだろうか。「私の男」では、浅野忠信を狂わせる少女を演じている。「魔性」が売り物なのではないのか。
「動物柄のパンティー」を履いていないという「証拠」のため? それならそれで、パンティーが動物柄ではなかったというだけでいいだろう。ずっーと下着をつけたままなのがわからない。翌朝、パジャマの上を二階堂ふみが着ていて、下を福山雅治が履いているなんて、馬鹿みたいな「セックス後」の描き方にもびっくりするなあ。
福山雅治が嫌いだった? あるいは福山雅治の方が二階堂ふみを嫌いだった? どっちでもいいが、役者根性に欠けるなあ、と思ってしまう。「こんなの、いまどき、ありえない」とだれかが言わないのだろうか。
ほんとうの「ラスト」の、二階堂ふみが新人記者と組んで取材に行くシーンなんか、まるで安物の「青春映画」。吹き出してしまいそう。
それやこれやで、リリー・フランキーの「絶望」だけが、とてもいい感じ。最後の、いかにもつくりもの、ご都合主義のストーリーはリリー・フランキーの演技力だけで持っているのだが、そんなシーンよりも、福山雅治とのなんでもないシーンがいい。うさんくさい「情報屋」としてスクリーンにあらわれ、だんだん「過去」があるらしいと感じさせる。ドラッグ中毒なのに、ボクシングがめちゃくちゃ強い、なんていうのはかっこよくて、あのシーンなんかは、おっ、真似したいなあと思わせる。「普通」とは違う次元を生きている、ということを「肉体」そのもので表現している。
(天神東宝スクリーン3、2016年10月05日)
*
「映画館に行こう」にご参加下さい。
映画館で見た映画(いま映画館で見ることのできる映画)に限定したレビューのサイトです。
https://www.facebook.com/groups/1512173462358822/
福山雅治が中年のパパラッチを演じる、というのが「売り」なんだろうなあ。リリー・フランキー(うまい!)とのからみが、とてもいい。
のだけれど。
映画の後半、あれは何? 二階堂ふみに連続殺人犯(レイプ魔)の写真を撮らせる、というところで終わっていいんじゃない? その撮影の前に、二階堂ふみに「こんな男(殺人犯)許せない」というようなことを言わせている。それだけで、二階堂ふみを「記者」にしている。それで、十分。いまどき、こういうジャーナリストはいないだろうなあ、とは思うが。そういう意味では、これは「現実」を描いているというよりも「理想」を描いた映画なのだが。
その「理想主義(?)」が、この映画をときどき、とてつもなく変なものにしている。
ラストのエピソードの寸前の、福山雅治と二階堂ふみのベッドシーン。あれはいったい何なのだ。いまどきブラジャーとパンティーをつけたままのセックスシーンなんてあるんだろうか。二階堂ふみの映画をそんなに見ているわけではないが、「清純派」で売っているわけでもないだろうに、なぜ、あんなシーンなのだろうか。「私の男」では、浅野忠信を狂わせる少女を演じている。「魔性」が売り物なのではないのか。
「動物柄のパンティー」を履いていないという「証拠」のため? それならそれで、パンティーが動物柄ではなかったというだけでいいだろう。ずっーと下着をつけたままなのがわからない。翌朝、パジャマの上を二階堂ふみが着ていて、下を福山雅治が履いているなんて、馬鹿みたいな「セックス後」の描き方にもびっくりするなあ。
福山雅治が嫌いだった? あるいは福山雅治の方が二階堂ふみを嫌いだった? どっちでもいいが、役者根性に欠けるなあ、と思ってしまう。「こんなの、いまどき、ありえない」とだれかが言わないのだろうか。
ほんとうの「ラスト」の、二階堂ふみが新人記者と組んで取材に行くシーンなんか、まるで安物の「青春映画」。吹き出してしまいそう。
それやこれやで、リリー・フランキーの「絶望」だけが、とてもいい感じ。最後の、いかにもつくりもの、ご都合主義のストーリーはリリー・フランキーの演技力だけで持っているのだが、そんなシーンよりも、福山雅治とのなんでもないシーンがいい。うさんくさい「情報屋」としてスクリーンにあらわれ、だんだん「過去」があるらしいと感じさせる。ドラッグ中毒なのに、ボクシングがめちゃくちゃ強い、なんていうのはかっこよくて、あのシーンなんかは、おっ、真似したいなあと思わせる。「普通」とは違う次元を生きている、ということを「肉体」そのもので表現している。
(天神東宝スクリーン3、2016年10月05日)
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