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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(71)

2020-06-28 08:33:30 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
ピノキオと白菖蒲の花

もぎたての果物の匂いのような
性の苦(にが)い匂い

 この果物は完熟した果物ではない。実をつけたばかりの青い果物だろう。青梅の苦さを私は思い出す。「もぎたて」の「たて」(したばかり)ということばのなかに、「若さ」がある。
 一方、逆のことも私は知っている。「完熟」の、その頂点を超えた果物の、甘さの中に隠れている苦さ。腐敗がはじまる寸前の刺戟。たとえば木から落ちる寸前の柿。それは「もぎたて」とは違う。違うのだが、それは、もがないと落ちてしまうものなのだ。
 梅の木も柿の木も、田舎の家の庭にあった。田舎では、性はいたるところに、隠れているのではなく、あからさまにあふれていた。そういうことを思い出した。





*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

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