人生とは
<blockquote>
人生とは
ある種の不思議な遠さである
</blockquote>
と書いたあと、これを、こう言い直す。
<blockquote>
そして黄金の国の彼方に横たわる一地方である
</blockquote>
しかし、これでは「言い直し」にならない。やはりわからないままである。「黄金の国」が何かわからないし、それがわからなければ「彼方」もどっち方向かわからない。
わかるのは、「そして」という接続詞だけてある。接続詞に意味はないが、接続詞は「方向」を持っている。「しかし」と「そして」は方向が逆だ。「あるいは」は逆かどうかはわからないが、いま向いている方向とは別の方向をあらわす。
この詩から何か「意味」を引き出せるとしたら、嵯峨は、ここでは「そして」をつかってある方向に動こうとしているということだけだろう。その「そして」は「彼方」へ向かうのである。つまり、とどまらない。
止まらずに、ひたすら、一つの方向を目指す。詩を目指し続けたと読み直せば、それは嵯峨の人生になるだろう。
*
詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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