本のなかを、
本のなかを走っている鉄道を八時間かけてたどりついた冬の朝、
ことばは、ホテルのベッドに横たわっている男を書きはじめる。
突然降りはじめた雨が窓の外側を流れている。
その向こうで葉を落とした梢が激しく揺れ、影が乱れた。
ことばは、音楽会に行くべきかどうか思案している男を書くべきかどうか迷っている。
男はまったく希望を持っていない--二度手術をしたあとの父のように。
そう書くのに音楽会と雨は似つかわしいのかどうか。
しかし、それはあしたの朝のことであって、いまは夜。
枕元のスタンドの黄色い光は、広げたノートのうえに鉛筆が小さな影をつくっている。
書こうとして書けないことの、
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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ことばは、ホテルのベッドに横たわっている男を書きはじめる。
突然降りはじめた雨が窓の外側を流れている。
その向こうで葉を落とした梢が激しく揺れ、影が乱れた。
ことばは、音楽会に行くべきかどうか思案している男を書くべきかどうか迷っている。
男はまったく希望を持っていない--二度手術をしたあとの父のように。
そう書くのに音楽会と雨は似つかわしいのかどうか。
しかし、それはあしたの朝のことであって、いまは夜。
枕元のスタンドの黄色い光は、広げたノートのうえに鉛筆が小さな影をつくっている。
書こうとして書けないことの、
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![]() | 谷川俊太郎の『こころ』を読む |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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![]() | リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。