破棄されたの詩のための注釈(30)
「反映」ということばがあった。ハナミズキの並木の坂道があり、そこで失われたものがある。けれど「視線」は残っていて、それがやわらかな花びらから「反射」してくる。その感じを「反映している」という動詞で言い換えたいと思った。その日のことばは。
「非在」とか「空虚」ということばをゆっくりと退けながら、坂がおわるところを見ていると「失われた」が「失われる」という現在形の動詞になって、坂をのぼっていく。こんな奇妙な「愛する」という方法(沈黙)を見つける必要があったとは……。
「空」という文字を傍線で消すと、青い空気が青いまま降ってきて、歩いていくひとの影になる午後。空を見上げれば飛行機雲の、まっすぐな道。そのさびしい色のハナミズキが揺れて、私のこころを「主張する」。
*
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
「反映」ということばがあった。ハナミズキの並木の坂道があり、そこで失われたものがある。けれど「視線」は残っていて、それがやわらかな花びらから「反射」してくる。その感じを「反映している」という動詞で言い換えたいと思った。その日のことばは。
「非在」とか「空虚」ということばをゆっくりと退けながら、坂がおわるところを見ていると「失われた」が「失われる」という現在形の動詞になって、坂をのぼっていく。こんな奇妙な「愛する」という方法(沈黙)を見つける必要があったとは……。
「空」という文字を傍線で消すと、青い空気が青いまま降ってきて、歩いていくひとの影になる午後。空を見上げれば飛行機雲の、まっすぐな道。そのさびしい色のハナミズキが揺れて、私のこころを「主張する」。
*
![]() | 谷川俊太郎の『こころ』を読む |
クリエーター情報なし | |
思潮社 |
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
![]() | リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」 |
ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。