8月2日の読売新聞の一面(西部版・14版)。「緊急事態宣言」が拡大されたことを報じている。そのコロナ関連で注目したのが、次のニュース。
田村厚生労働相は1日のNHKの番組で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染力の強いインド型(デルタ型)の変異ウイルスの感染拡大によって「フェーズ(局面)が変わってきている」と指摘した(略)。「若い人の間でクラスター(感染集団)の発生が続くと、再び変異(ウイルス)が生まれ、若い人が重症化する可能性のあるウイルスになるかもしれない」と述べ、若い世代への接種の呼びかけを強化する考えを示した。
↑↑↑↑
「インド型対策」から、「新種型対策」へと「視野」を広げている。これは、つまり、いまの感染状況が非常に危険であるという認識を示している。
もう一つ、
河野行政・規制改革相は1日放送のBS朝日の番組で、新型コロナウイルスワクチンについて、2回の接種を終えた場合、来年に3回目の接種を行うことになるとの見通しを示した。
米ファイザー製、米モデルナ製のワクチンはともに2回の接種が必要とされている。河野氏は、どちらも「だいたい1年くらいは効果が持続する。今年2回打った人は来年は1回でいい」と述べた。ワクチンの効果を継続するには、3回目の接種が必要との認識を示したものだ。
↑↑↑↑
なぜ、3回目接種が必要か。「ワクチン効果を継続する(維持する?)」ということだが、別な角度から見れば、「来年になってもコロナ感染は終息しない」という認識を河野が持っているということだろう。
3回目接種自体は、
↓↓↓↓
【カイロ=上地洋実】イスラエルのナフタリ・ベネット首相は29日、60歳以上を対象に、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を8月1日から実施すると発表した。インド型(デルタ型)による感染が拡大していることを受けたもので、世界初の取り組みとなる。
↑↑↑↑
という「世界認識」を受けたものである。私の知っている限りではスペインでも検討しているし、アルゼンチンでは、すでに接種を受けた人が、3回目接種の写真をフェイスブックに掲載していた。
「新変種(東京型?)」の発生さえ視野に入れ、コロナ終息がみえないために3回目接種さえ考えているというのなら、なぜ、もっと今起きていることに対して真剣に取り組まないのか。なぜ、東京オリンピックを即座に中止し、都市封鎖をしないのか。
日曜日(きのう)の全国の感染者は1万177人。1万人を超すのは4日連続。しかも、きのうは、ふつうなら感染者が大幅に減る日曜日だった。それなのに、増えている。
読売新聞は、またしても、姑息な「数字操作」をしている。
↓↓↓↓
東京都では、新たに3058人の感染を確認。5日連続で3000人を上回り、1週間前からは1295人増えた。
福岡県では、前週の日曜日の約2・5倍にあたる434人の感染が判明した。(この項、西部版・14版)
↑↑↑↑
3058-1295=1763(先週の日曜日の感染者)
3058÷1763=1・7345433919455
つまり1・7倍、先週より増えている。この増え方は異常だろう。日曜日でこれなのだから、検査数が増える平日はどうなるのか。
五輪関係では、どうか。
↓↓↓↓
組織委は、新たに18人が新型コロナの検査で陽性と判定されたと発表した。7月1日以降に公表した大会関係者の陽性者は259人となった。記者会見に同席した国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長は「プレーブックと緊急事態宣言のルールを守れば全員の安全が確保できる」と強調。武藤氏も「コロナ対策は想定内のレベルで対処できている。多くの方々がオリンピックをやってよかったなと思える状況」と述べた。
↑↑↑↑
「プレーブックと緊急事態宣言のルールを守れば」という条件付きはおかしいだろう。だいたい五輪開催は「緊急事態宣言」前のことである。あとから「条件」をつけたして、「安心安全」というのは、馬鹿げている。プレーブック自体、各国の五輪予選のはるか後、開催直前にできたものだろう。
しかも、「コロナ対策は想定内のレベルで対処できている」とはふざけた話ではないか。いったい「想定内」の「想定」とは何なのか。「安心安全」は感染が拡大することを見込んだ上での「安心安全」にならないか。感染の危険が「想定」されるのなら、「安心安全」は口先のものである。
何度も書くが、外国人選手の入国が始まったとき、感染者が出た場合、必ず「濃厚接触者数」が公表されていた。いま、それを隠蔽するのはなぜなのか。もう、把握することをやめてしまっているのではないのか。これも、「想定内」の対象方法なのか。
大会が始まれば、国民は「結果」に注目する。何人が感染したか、濃厚接触者は何人かなど気にしないと「想定」しているのか。
さらに、こんなことも書いてある。
↓↓↓↓
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は1日、東京都内で記者会見を開き、新型コロナウイルス対策の指針「プレーブック」が適用された7月1日以降、指針の違反で処分した大会関係者が28人に上ることを明らかにした。
処分は開幕前に麻薬取締法違反容疑で逮捕された外国籍の男4人と、観光したジョージアの柔道銀メダリスト2人の計6人が大会参加に必要な資格認定証の剥奪、8人が認定証の一時効力停止で、14人が厳重注意。厳重注意のうち、4人には指針を順守するとの誓約書も提出させた。武藤氏は「違反には厳正に対処する」と語った。
↑↑↑↑
処分にわざわざ「麻薬取締法違反容疑で逮捕された外国籍の男4人」を書いているが、これはコロナ対策とは直接関係ないだろう。他の大会のプレーブックは知らないが「逮捕(拘束)」されたのなら、基本的に大会には出られないし、大会にかかわることはできないだろう。こんなことをわざわざ書くのは(言うのは)、コロナ対策から目をそらせるためだろう。もし言うとしても、最後に付け加えればいいことである。
問題は銀メダリスト。「資格認定書」は剥奪されたが、メダルは? もし、失格なら、だれが銀メダル? 銅メダルは? ソウル大会では、ベン・ジョンソンがドーピング違反が発覚し金メダルを剥奪された。カール・ルイスが繰り上げで金メダルを獲得した。(即日ではないけれど)。ルールブックは、そういうところまで踏み込んで規定しているのか。もし、そういう規定がないのだとしたら、「資格認定証剥奪」にどれくらいの意味があるのか。「一時効力停止」「厳重注意」の対象行為とはどんなものなのか。
武藤氏は「違反には厳正に対処する」と語った、とあるが、これがカール・ルイスのような選手の場合は、どうなっていただろう。観光に外出したのは、ほんとうにジョージアの選手だけなのか。試合が終わった後も、他の外国人選手は自室にこもっていたのだろうか。私は、なんだか妙な感じがする。ジョージアの選手の観光が「発覚」したのは、どうしてなんだろうとも思う。自己申告したのか、タクシー会社から連絡があったのか。いったい、だれが「監視」していたのか。選手村の場合「監視」が可能かもしれないが、ホテルに滞在している選手、関係者の「監視」はどうなっているのか。そういうことも気になる。
まあ、それは気にしてもしようがないけれど。
やっぱり問題は、競技が終わった後も、どこにもいけない。自由行動ができない。それなのに「安心安全」と主張して、大会を強行開催したことだ。
日本選手で、選手村で「監視」を受けている人は何人いるのか。ストレスのたまらない環境で練習し、「金メダル獲得」して、それでも「公平」な競技と言えるのか。そんなことも考えてしまう。
オリンピックは即座に中断、中止すべきだ。