顔のなかに、
「顔のなかに」ということばが、開いた扉の隙間のように目を引きつけた。そのことばの奥には「別の顔の記憶が住み着いていた」ということばがあった。「電話がかかってきたとき、動いた」という短い情景の挿入の後、顔は「小さな部屋」という比喩になった。
「再びあの眼が」ということばが、そこには書かれていない「違う理由によって」おしのけられた。あるいは、「壁にかかった四角い鏡」のなかにしまい込まれた。それは鏡のなかに半分入り込んだ「ノートに書かれる」ことを欲したのかもしれないが、このとき「ノート」は比喩ではない。
「たいていのことは、そのように進んだ」
「たいていのことは、そのように済んだ」
並列して書かれたこのことばは、どちら側から見たのだろうか。
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「谷川俊太郎の『こころ』を読む」はアマゾンでは入手しにくい状態が続いています。
購読ご希望の方は、谷内修三(panchan@mars.dti.ne.jp)へお申し込みください。1800円(税抜、送料無料)で販売します。
ご要望があれば、署名(宛名含む)もします。
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。
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「再びあの眼が」ということばが、そこには書かれていない「違う理由によって」おしのけられた。あるいは、「壁にかかった四角い鏡」のなかにしまい込まれた。それは鏡のなかに半分入り込んだ「ノートに書かれる」ことを欲したのかもしれないが、このとき「ノート」は比喩ではない。
「たいていのことは、そのように進んだ」
「たいていのことは、そのように済んだ」
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クリエーター情報なし | |
思潮社 |
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ヤニス・リッツォス | |
作品社 |
「リッツオス詩選集」も4400円(税抜、送料無料)で販売します。
2冊セットの場合は6000円(税抜、送料無料)になります。